借地法12条2項に基づく地代の供託が著しく低額である場合に本旨に従った地代の支払でないとして土地の賃貸借が解除された事例
(千葉地裁 昭和61年10月27日判決 判例時報1228号)賃貸借解除について

1.判決の要旨

賃借人は、昭和45年より1坪当たり月90円の地代を15年以上にわたって供託し続けているが、既に昭和48年の時点で、その供託額は、同年度における地代家賃統制令による統制月額地代(1坪当たり金349円)の約4分の1という著しく低額であるばかりでなく、賃借人の長期間にわたり、一見して「著しく低額」であると認識し得べき金額を漫然と供託し続けた態度は明らかに常識を欠いたものであり、賃貸借関係において要求される信義を欠いたものである。

(借地借家紛争解決の手引 新日本法規より引用)

2.事件の概要判決の要旨

 AはYに対し、昭和37年10月非堅固な建物所有を目的として本件土地を賃貸し、昭和43年4月から賃料が坪当たり月額90円に改訂された。Aは、昭和45年3月ころ、同年4月から賃料を坪当たり月額120円に増額する旨請求したが、Yはこれに応ぜず、Aが従前の賃料の受領を拒絶したため、以後従前の賃料である坪当たり月額90円宛の金員を供託してきた。

 Aの相続人Xは、昭和48年度の地代家賃統制令による統制地代月額は坪当たり349円であり、この4分の1という極端に低額な金員を15年以上もの長期にわたり漫然と供託を続けるYの態度は信頼関係を破壊するものであり、右供託は賃料の支払として適法な弁済供託とはいえないと主張し、Yに対し賃料不払による解除を理由として本件土地の明渡し等を請求した。

 これに対し、本判決は、賃料増額請求がなされ協議が調わないとき、借地人は借地法12条2項により増額を正当とする裁判が確定するまで原則として「借地人が相当と認める地代」を支払えばよいが、その額が特段の事情もないのに従前の地代よりも低額であったり、適正地代額との差があまりにも大きいときには、債務の本旨に従った履行とはいえず、背信行為ありとして契約解除の効力を認めるべき場合もありうると判示したうえ、Yが昭和45年から供託してきた坪当たり月額90円の額は、昭和48年の時点で、同年度の地代家賃統制令による統制地代月額(坪当たり349円)の4分の1という著しく低額なもので、適正地代額との差が極端に大き過ぎ、長期にわたり一見して著しい低額であると認識しうべき金額を漫然と供託し続けるYの態度は明らかに常識を欠き信義を欠いたもので、債務の本旨に従った賃料の支払と評価しがたいとして、X主張の契約解除の効力を認め、XのYに対する本件土地の明渡し等の請求を認めた。

 本件は、従来の地代の額の支払が著しく低額で相当性を欠き、債務の本旨に従った賃料の支払と評価しがたいとして賃貸借の解除が認められた事例であるが、地代増額請求の事案で長期にわたり漫然と従来の低額な地代を支払い続けているケースをしばしば見受けることがあり、同種事案の先例が少ないだけに、本判決は実務上参 考になると思われる。

判例時報1228号より引用しました

 

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