財産評価基本通達によって求めた価格よりも、不動産鑑定士が求めた鑑定評価額が相当だという裁決事例(平成12年4月18日裁決 大阪)がありましたので掲載します。

1.本件の概要相続税法上の時価と鑑定価額

本件土地は2,954㎡の土地で、相続開始日現在、自転車置き場として貸し付けられていた土地です。

原処分庁は当該土地を最有効使用するとすれば、近隣地域の標準的な宅地に分割利用することが考えられる。宅地として利用するには開発行為が必要で公共公益的施設用地としての潰れ地が生じること等から広大地評価を行っている。

それに対し、請求人は、本件土地の価額は鑑定評価書による鑑定評価額にすべきと主張し、争いになった事例です。

2.審判所の判断

イ. 次に、請求人主張額の根拠となる本件鑑定書の内容について検討すると、次のとおりである。

(イ)本件土地の最有効使用は、本件土地を細区分の上、県道沿いの画地を地域の標準的使用に即応する規模の店舗用地とし、それ以外の部分については住宅用地として利用することであると判断しているが、当審判所の現地調査によっても、これを不相当とする理由は認められない。

(ロ)本件鑑定評価額は、取引事例比較法及び土地残余法に加え、本件土地の最有効使用である分割利用を想定した開発法を適用し、これら三手法により求められた価格を比較考量して決定している。
そして、原価法は、造成地及び埋立地等再調達原価を適正に求めること
ができる場合に適用できるものであるとして、原価法は採用していない。

本件鑑定評価額の鑑定方法は、不動産鑑定評価基準に照らし妥当なものと認められる。

(ハ)取引事例比較法について、当審判所の現地調査によっても、取引事例の選択は適正に行われていると認められ、また、本件土地とこれら取引事例に係る事情補正、時点修正、標準化補正、地域要因格差の比較及び個別的要因格差の比較についても、的確になされていると認められる。

(ニ)土地残余法について、収益物件の想定方法、基本利率等の設定及び本件土地に帰属する純収益の算定は、いずれも相当であると認められる。

(ホ)開発法において、本件土地の最有効使用に基づき想定開発概要図を作成しているが、この想定開発概要図はH開発指導要綱に沿って作成されており、また、分譲価格の算定において規準とした公示地等の選定並びに造成費相当額及び附帯費用等の算定も適正に行われていると認められる。

ロ 以上のとおり、本件土地の自用地の評価額として算定された本件鑑定評価額は、上記ニのとおり、合理的かつ適正に算定されており、本件土地の自用地の客観的な交換価値を示す価額として相当なものと認められる。

なお、本件土地の価額は、評価通達86の定めにより、当該土地の自用地の価額から賃借権の価額を控除した金額により評価することについて、請求人及び原処分庁の双方に争いはなく、当審判所の調査によっても相当と認められる。

そうすると、本件土地の評価額は、本件土地の自用地の価額354,480,000円から賃借権の価額8,862,000円を控除した価額345,618,000円となり、本件相続に係る相続税の課税価格及び納付すべき税額は、別表2のとおりとなるところ、これらの金額は、本件更正処分の金額を下回るから、別紙のとおり、その一部を取り消すべきである。

ハ. その他

原処分のその他の部分については、請求人は争わず、当審判所に提出された証拠資料等によってもこれを不相当とする理由は認められない。
よって、主文のとおり裁決する。

3.裁決要旨

 請求人は、本件土地の自用地の価額は、請求人が提出した本件鑑定評価書における鑑定評価額とすべきである旨主張する。そこで、当審判所が本件鑑定評価書の内容について検討したところ、本件鑑定評価額は、取引事例比較法及び土地残余法に加え、本件土地の最有効使用である分割使用を想定した開発法を適用しており、これら三手法により求められた各価格は、いずれも適正に算定されていると認められる。また、本件鑑定評価額の決定における各価格のウェイト付けも相当であると認められる。そうすると、本件鑑定評価額は、本件土地の自用地の価額として相当であり、この価額は、原処分の額を下回ることから、本件更正処分の一部を取り消すべきである。

(平成 12.4.18 大裁(諸)11-105)

※本件において、請求人は不動産鑑定士の鑑定評価書を介して自己の主張を曲げず主張し勝ち取った事例の1つです。

大いに参考になったかと思います。

 

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