特別な事情があるので鑑定が必要だとした事例です【裁決事例…事例1】

特別な事情ありとして、財産評価基本通達による広大地を適用すべきではなく、鑑定評価書による時価によるべきとした事例

平成25年5月28日裁決(公開・関信)

①事案の概要

本件は、請求人らが相続により取得した土地の価額は、不動産鑑定士による鑑定評価額であるとして相続税の申特別な事情がある場合の評価方法告をしたところ、原処分庁が財産評価基本通達に基づく評価額によることが相当であるとして相続税の各更正処分等を行ったのに対し、請求人らがその全部の取り消しを求めた事案です。

②本件土地の概要

本件土地の面積3,059.75㎡、急傾斜地が本件土地の約20mを占める個性の強い土地です。
駅から約2.1kmに位置する、戸建住宅用地又は低層アパート用地が同地区の土地の標準的使用である第一種低層住居専用地域(建ぺい率50%、容積率100%)に存する事例です。

③原処分庁の主張

イ 本件土地を開発する際に多額の擁壁・造成費用が必要であるとしても、これらの費用は、広大地通達に定める広大地補正率が評価通達15から20-5までに定める各種補正率に代えて乗じられるものであることからすると、広大地補正率により考慮されていると認められる。

ロ 広大地通達に定める広大地補正率は、開発行為を行うとした場合に公共公益的施設用地の負担が必要と認められる宅地を評価するに当たり、実際に開発許可が受けられるか否かにかかわらず適用されるものであるから、仮に、請求人らが主張するような、本件審査基準等による種々の開発制限により、本件土地の本件相続開始時の現況では開発許可が受けられないとしても、これらの制限があることをもって、評価通達の定めにより難い特別な事情があるとは認められない。

ハ 買付証明書等は、単に不動産業者から本件通達評価額に満たない金額で買い付けの申し込みがあったことの証明書にすぎないから、当該買付証明書等の金額が本件通達評価額より著しく低いということをもって、本件土地に評価通達の定めにより難い特別な事情があると認めることはできない。

④請求人らの主張

イ 本件土地に存する次の事情は、評価通達の定めにより難い特別な事情に当たることから、本件土地の価額の算定は、鑑定評価の方法によるべきであり、本件土地の本件相続開始時における価額は請求人鑑定評価額となる。
このことは、本件通達評価額が請求人鑑定評価額に比して過大であることからしても明らかである。

(イ)本件土地は、崖地があることから、そもそも開発不能な部分があり、また、地盤が軟弱な部分もあることから、その補強等のために多額の擁壁・造成費用が必要であるが、広大地通達に定める広大地補正率は、公園、道路等の公共公益的施設としての潰れ地しか考慮していないから、同補正率によって、開発不能な部分の潰れ地や擁壁・造成費用を賄うことはできない。

(ロ)本件土地は、次のとおり、本件相続開始時に本件審査基準により開発許可が受けられない土地であるから、その価値は著しく低い。

ロ 仮に、請求人鑑定評価額が本件土地の価額として認められないとしても、本件土地の価額は、P不動産鑑定士作成の平成24年4月28日付不動産鑑定評価書の鑑定評価額73,000,000円(以下「P鑑定評価額」という。)を上回ることはない。

⑤審判所の判断

イ 本件土地は、上記のとおり、袋地となっているところ、本件土地に係る請求人開発計画は、上記のとおり、開発区域内の道路を袋路状道路として開発することとしている。
しかしながら、本件審査基準では、原則として開発区域の面積が3,000㎡を超える場合には、袋路状道路の敷設は認められていない上、上記のとおり、本件土地を袋路状道路で開発する場合には、開発面積は1,000㎡未満に限られていることになるにもかかわらず、請求人鑑定評価では、この点について請求人個別格差補正において何ら考慮しておらず、合理性が認められない。

ロ 以上のとおり、請求人比準価格及び請求人開発法価格は、その算定過程において、いずれも合理性が認められないから、これらの価格を基に算定された請求人鑑定評価額は、本件土地の本件相続開始時における価額(時価)とは認められない。

ハ 本件土地の本件相続開始時における価額(時価)はいくらか(本件土地の時価を評価するに当たり評価通達の定めにより難い特別な事情があるか否か)について上記のとおり、評価通達に定められた評価方法により算定される価額が時価を上回る場合には、評価通達の定めにより難い特別な事情がある場合に該当するといえ、その場合には、評価通達の定めによらず、他の合理的な評価方法により評価することが許されると解されるところ、本件土地につき、広大地通達を適用して算定される価額(150,452,114円)は、本件土地の本件相続開始時における価額(時価)である審判所鑑定評価額(69,300,000円)を上回ることから、本件土地の評価額を評価するに当たっては、評価通達の定めにより難い特別な事情があると認められ、本件土地の評価額は審判所鑑定評価額とするのが相当である。

ニ その他の請求人らの主張について

請求人らは、上記のとおり、本件土地の本件相続開始時の価額は、請求人鑑定評価額(60,000,000円)が認められない場合であっても、P鑑定評価額(73,000,000円)を上回るものではない旨主張するところ、本件土地の本件相続開始時における価額(時価)は、上記のとおり、審判所鑑定評価額(69,300,000円)とするのが相当である。

ということで審判所の鑑定評価額(69,300,000円)をもって本件土地の価額となりました。

(ⅰ)鑑定評価額 金60,000,000円(H21.7.13付)

(ⅱ)鑑定評価額 金73,000,000円(H24.4.28付)

(1)審判所…鑑定評価額 金69,300,000円

≪裁決要旨≫

原処分庁は、請求人らが相続により取得した土地(本件土地)の相続開始時(本件相続開始時)における価額は、財産評価基本通達(評価通達)による評価額(原処分庁通達評価額)によるべきである旨主張し、請求人らは、本件土地の時価を評価するに当たり評価通達の定めにより難い特別な事情があることから、請求人らが依頼した不動産鑑定士による鑑定評価額(請求人鑑定評価額)によるべきである旨主張する。

しかしながら、本件の場合、請求人鑑定評価額は、開発法につき都市計画法第33条≪開発許可基準≫に関する審査基準(本件審査基準)を満たしていないなどの理由により、本件土地の本件相続開始時における時価とは認められないが、他方、本件土地の開発に際しては、袋路状道路の敷設は認められないなど特殊な制約が本件相続開始時にあったことから、当審判所において不動産鑑定士に鑑定評価を依頼し、その評価額(審判所鑑定評価額)を検討したところ、開発法につき本件審査基準を満たしているなどの理由により、本件相続開始時における時価として妥当なものと認められた。そして、評価通達に定められた評価方法により算定された価額が時価を上回る場合には、評価通達の定めにより難い特別な事情がある場合に該当するといえ、その場合には、他の合理的な評価方法により評価することが許されると解されるところ、原処分庁通達評価額は審判所鑑定評価額を上回るものであることからすると、本件土地の価額を評価するに当たっては、評価通達の定めにより難い特別な事情があると認められる。

したがって、本件土地の本件相続開始時における価額は、審判所鑑定評価額とするのが相当である。

広大地は、一昨年(H29年)12月31日をもって「地積規模の大きな宅地の評価」に変わりましたが、広大地を使った相続税還付はこれからも活用できます。

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