特別な事情があるので通達によらず不動産鑑定により時価を求める必要があるとした事例(裁決事例)

特別な事情があるとした事例広大な土地(本件甲土地という 11,224.53㎡)の土地の価格は、評価基本通達に基づく価格ではなく、特別な事情があるので鑑定評価によるべきとした裁決事例(平成14年7月22日裁決)

①あらまし

請求人は本件甲土地について路線価に基づき6,016,866,985円と算定し申告したが、不動産鑑定士が作成した鑑定評価書による金額4,380,000,000円であるとして更正の請求をした。
原処分庁は、本件甲土地は評価基本通達に基づく相続税評価額4,868,909,163円と評価するのが相当と判断した。

審判所は、原処分庁が評価基本通達に基づいて評価した価額は、本件甲土地の本件相続開始日の時価を越えているものと認められることから、原処分庁が評価した価額は採用することはできず、本件甲土地は、当審判所において本件甲土地の時価を検討したところ4,583,649,070円とすることが相当である。

②事案の概要

本件は、審査請求人(以下「請求人」という。)が相続により取得した取引相場のない株式の価額の評価に当たり、評価しようとする会社の所有する土地の価額の多寡を主な争点とする事案である。

③審判所の判断

本件審査請求の争点は、請求人が本件相続により取得した本件株式の評価に当たり、F社の所有する本件甲土地、本件乙土地及び本件丙土地の価額の多寡、さらに、当該法人が土地保有特定会社に該当するか否かにあるので、以下審理する。

ⅰ)本件甲土地の価額について

本件において、請求人は、本件甲土地の価額について、本件鑑定評価書に記載された標準画地の1平方メートル当たりの比準価格481,000円に、広大地補正率0.56を乗じた価額269,360円で評価すべきである旨主張するので、当該金額が相続税法第22条に規定する時価として認められるか否か及び原処分庁の主張する本件甲土地の試算価額が相当であるか否かについて、以下検討する。

イ 請求人の主張

(イ)請求人は、本件甲土地の地積は広大であるから、広大地補正率0.56を適用すべきである旨主張するが、本件甲土地の周辺の状況は、別表2の「本件甲土地」欄のとおり、中高層の共同住宅、商業ビル、店舗、学校等が混在する地域であることからして、本件甲土地の最有効使用は中高層のマンション用敷地と認められるので、戸建宅地開発分譲を前提として算定した当該広大地補正率を適用するのは相当でない。

したがって、この点に関する請求人の主張は採用することが出来ない。

(ロ)また、請求人は、本件公示価格はバブル崩壊の実態が反映されていない価格であり、この価格を基としている路線価も現実の時価とかい離している旨主張するが、公示価格は、地価公示法第2条《標準地の価格の判定等》に規定する「正常な価格」を判定したものであり、この「正常な価格」とは、同条第2項において、土地について、自由な取引が行われるとした場合におけるその取引において通常成立すると認められる価格である旨規定されている。

そして、公示価格は、一般の土地の取引価格に対しての指標、不動産鑑定士等の鑑定評価及び公共事業の用地の買収価格等の規準とされるものであることからすると、この点に関する請求人の主張には理由がない。

ロ 原処分庁の主張する試算価額について

原処分庁は、本件甲土地の価額の算定に当たり、比準すべき適切な取引事例は見当たらないとした上で、本件公示地を基に、土地価格比準表により地域要因及び個別的要因の格差補正を行って、本件甲土地の1平方メートル当たりの価額を470,000円と試算している。

原処分庁は、地域要因の比較において、本件公示地の将来の動向としてマイナス2ポイントとしているが、本件甲土地と本件公示地は、同じ通りに面しており、双方の周辺の状況等から判断して格差があるとはみとめられないことから、原処分庁が試算した地域要因の格差率は相当であるとは認められない。

また、原処分庁は、個別的要因の比較において、地積が過大であるとしてマイナス8ポイントとしているが、本件甲土地の地積は11,224.53平方メートルであり、本件甲土地の近隣地域における標準的な角地の地積1,500平方メートルと比較して大規模な角地であること、さらに、本件甲土地の奥行距離は平均で約72mあり、標準的な角地の奥行距離30mと比較して劣っていると認められる。これらの要因からすると、マイナス8ポントよりもその原価率は大きいと判断されることから、原処分庁が試算した個別的要因の格差率は相当であるとは認められない。

ハ 当審判所が認定した時価について

本件甲土地は、その近隣地域の標準地と比較して、
【1】三方路による増価要因があること、
【2】地積過大、奥行逓減及び不整形地による減価要因があること及び
【3】標準画地の容積率が400%であるのに対し、本件甲土地の容積率は通りから30m超が200%となっていることによる行政的条件の減価要因が認められることから、
これらの要因について格差補正を行って本件甲土地の価額を算定すると、別表7の(2)のとおり1平方メートル当たり408,360円となり、当該価額に本件甲土地の地積を乗じた4,583,649,070円が本件甲土地の時価と認められる。

以上の結果、原処分庁が評価基本通達に基づいて評価した価額は、本件甲土地の本件相続開始日における時価を超えているものと認められることから、原処分庁が評価した当該価額は採用することはできず、本件甲土地の価額は、上記のとおり4,583,649,070円とすることが相当である。

※本件土地についてのコメント

本件甲土地の地積 11,224.53㎡

1. 請求人

・路線価による申告………………………………6,016,866,985円
・不動産鑑定による時価鑑定(更正の請求)…4,380,000,000円

2. 原処分庁

・相続税評価…4,868,909,163円

3. 審判所

・時価…4,583,649,070円

本件甲土地は、本件相続開始日の時価を越えているものと認められるので、本件甲土地の時価は4,583,649,070円とするのが相当であると審判所は判断しました。

4. コメント

毎日のように裁決事例をブログに掲載していますが、同じ争いをしないようにしてほしいと思いがあります。
また、裁決事例は宝の山で、学ぶところが多いと考えて裁決事例を掲げています。
本件甲土地は11,224.53㎡という規模の大きな宅地です。

請求人は当初申告で6,016,866,985円の評価で申告していましたが、時価鑑定(4,380,000,000円)により更正の請求を行い、結果として本件甲土地の時価は4,583,649,070円となりました。

差額1,433,217,915円です。規模の大きな土地は地積が過大になると造成工事費等がかさむこと、土地の奥行が長く使い勝手が悪く、土地を有効に利用できにくいなどの理由により土地の価値が減価し、その地域の標準的な地価水準より相当低くなることが多いのです。

本件甲土地のように11,224.53㎡の土地の場合、時価と路線価の逆転現象が生きるので時価鑑定が必要なってきます。

 

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