里道により区分された3筆の土地は、各筆ごとにそれぞれ1画地として評価すべきか、それとも本件は里道とこれら3筆の土地を併せて利用されているので、一体評価の方法にすべきか争われた事例 (沖裁(諸)平18第5号 平成19年3月28日裁決)

 1.本件土地の概要

本件土地17は、A土地(89.0㎡)、B土地(85.0㎡)、C土地(211.0㎡)の土地と里道及び土地16のB土地(47.44㎡)を含めて一体(以下、これらを併せて本件一体利用土地という)として、借地人等が(以下○○○という)所有する敷地として利用されていた土地である。(下記土地16のB土地及び土地17の想定整形図参照

想定整形図

2.争点

本件土地の時価はいくらか。評価単位は?  評価通達等により難い特別な事情があるか否か。

3.請求人らの主張

原処分は、次の理由により違法であるからその全部の取消しを求める。

イ 本件鑑定評価土地及び本件建物の相続税法第22条に規定する時価は、請求人ら鑑定評価に基づく「請求人ら鑑定評価における鑑定評価額算定の概要」(以下「鑑定評価額算定の概要」という。)における請求人ら鑑定評価額であり、「原処分庁の評価通達等に基づく評価額算定の概要」(以下「原処分庁評価額算定の概要」という。)の評価額(以下「原処分庁評価額」という。)は、時価を超えており違法である。

ロ 請求人ら鑑定評価額は、取引事例比較法、土地残余法に基づく収益価格、基準価格、個別格差補正及び個別的要因、特殊性等の検討を加えた適正な不動産鑑定評価に基づくものであり、相続税法第22条に規定する時価といえる。

4.原処分庁

原処分は、次の理由により適法であるので本件審査請求を棄却するとの裁決を求める。

イ 請求人ら鑑定評価額は、請求人ら鑑定評価が、①更地価格及び鑑定評価額の決定に当たり、地価公示法第6条《標準地の価格等の公示》の規定により公示された標準地(以下「地価公示地」という。)の価格(以下「公示価格」という。)や都道府県地価調査による基準地の標準価格を規準していないこと、②各貸宅地の鑑定評価額の決定に当たり、底地価格相当額を全額借り入れた場合に市場性の減退が認められるとして減価を行っていることなどから合理性がないため、相続税法第22条に規定する時価とは認められない。

ロ 評価通達等は合理性を有していることから、評価通達により難い特別な事情又は評価通達等に基づいて評価した価額が時価を超えていると認められる場合を除き、特定の納税者についてのみ評価通達に定める方式以外の方式によって評価することは、納税者の実質的負担の公平を欠くこととなり許されないというべきである。本件各土地は、評価通達等により難い特別な事情は認められない。

5.審判所の判断

(イ)認定事実

A 被相続人と○○○は、土地16のB土地及び土地17について建物の所有を目的とした土地賃貸借契約を締結していた。

 ○○○の担当職員は、当審判所に対して、要旨次のとおり答述している。

(A)本件一体利用土地内にある里道は、○○○が管理しているが、現実には里道を含めたところでの土地利用が行われている。

(B)○○○は、原則として里道の使用に関して許可していない。現在、住宅敷地として利用されているものについては、住宅の建て替え等の際に里道の付替え及び廃止をするように、土地使用者等に対し指導している。

(C)里道は、その里道に係る利害関係者の同意があれば廃止することができるが、里道に下水道等が敷設されていた場合等は廃止することができない。

(D)図面上の判断ではあるが周囲の利害関係者も多くないようであることから、本件一体利用土地内にある里道の廃止は比較的容易であると思われる。

 ○○○の担当職員は、当審判所に対して、要旨次のとおり答述している。

(A)里道を廃止する場合には、時価により有償で土地使用者に売却している。

(B)里道の売却価格の問合せがあった場合、固定資産税の路線価を0.7で割り戻すことにより時価を算定して売却価格を決定し普通財産処分価格計算書を交付している。

(C)本件一体利用土地内にある里道の平成14年の売却価格は1,308,400円である。

 ○○○公共下水道施設平面図によれば、本件一体利用土地内にある里道には、下水道は敷設されていない。

(ロ)請求人ら鑑定評価額

請求人ら鑑定評価は、別表4-17の鑑定評価額算定の概要のとおり、土地17をA土地ないしC土地に区分して評価し、鑑定評価額を190,000円と決定している。

(ハ)原処分庁評価額

原処分庁は、公図に従い本件一体利用土地を里道で区分した上で評価単位をA土地ないしC土地(C土地には土地16のB土地を含む。)に区分し、別表4-17の原処分庁評価額算定の概要のとおり、評価通達等に基づき16,520,779円と算定している。

(ニ)本件一体利用土地の評価額

上記から、本件一体利用土地について評価通達等により難い特別な事情は認められず、評価通達等に定める評価方法は、上記のとおり合理的と解されていることからすれば、評価通達等に基づき評価するのが相当である。

里道

ところで、請求人ら及び原処分庁は、本件一体利用土地内に里道が存在することから、評価単位を里道により区分されたA土地ないしC土地ごととしている。

しかしながら、本件一体利用土地は、相続開始日の現況における上記のA及びBの事実からすれば評価通達7-2の(1)の定めるところによりその全体を1の評価単位とするのが相当である。

そして、
①里道の廃止も比較的容易であること、

②その廃止に支障がないと認められること及び

③本件一体利用土地の利用を継続するためには里道を廃止する必要がありその廃止に費用を伴うものであることから、本件一体利用土地の評価額は、本件一体利用土地の自用地価額から里道の購入価額を控除して算出するのが合理的と認められる。

この場合において、控除すべき里道の購入価額については、上記のとおり時価によることとされているところ、路線価が地価公示価格の80%相当額として定められており、本件一体利用土地の自用地価額が地価公示価格の80%相当額となることからすれば、評価通達等による評価額と同一水準となるよう実際の購入価額の80%相当額とすることが評価の均衡を維持する面からも相当である。

そうすると、本件一体利用土地の評価額は、別表4-17の3「審判所認定額」のとおり19,596,559円となる。

 

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