いつも相続KOBAKANレターをお読みいただきありがとうございます。相続レターは2010年5月10日の創刊号から今年11月をもって90号(毎月発行)になります。

当初は相続問題全般の記事でしたが、2010年5月25日に「広大地判定.jp」のサイトをアップし、同6月号(VOL.2)からは2018年5月の84号まで多くの広大地の裁決事例を掲載して参りました。

相続KOBAKANレターは、広大地の内容がとても複雑で、どこに判定基準を求めるのかが分かりづらいため、裁決事例を読者の方と一緒に学んでいこうという趣旨で月1回配信してまいりましたが、広大地の終了(H29.12.31)と共にその役割も終えたと判断し、今月号90号をもって相続KOBAKANレターの配信を終了致します。当初よりお読みいただいた先生方、途中からお読みいただいた先生方、お仕事をいただいた先生方、皆々様に感謝申し上げます。

又、機会がありましたら、別の機会に皆様にお役に立つことをしていきたいと思います。その節はまた御連絡申し上げます。長きに渡りありがとうございました。

平成30年11月26日
株式会社アプレイザル総研
小林 穂積

 

バッティングセンターの待合フロアー、スポーツ用品の販売店舗、及び倉庫等の建築物が借地上にあっても、その敷地は借地権の目的となっている土地には当たらないとした事例(平成12年6月27日裁決・公開)

審判所の判断

イ 本件敷地の借地権について

(イ)原処分関係資料及び当審判所の調査によれば、次の事実が認められる。バッティングセンターとして利用

A 本件土地は、バッティングセンター、駐車場及び本件建築物の敷地として利用され、バッティングセンター及び本件待合フロアーは、本件土地の隣接地(第三者所有)にまたがって建築されている。なお、Fは隣接地においてコンビニエンスストアも経営している。

バッティングセンターは、周囲に鉄製支柱が12本立てられ、上面及び側面をビニールネットで覆われており、待合フロアー側に打撃席、対面側に投球用機械が設置されている。

本件待合フロアーは、昭和53年ころに建築された鉄骨波形鋼板葺平家建て(地下1階付倉庫)で、本件土地の隣接地にまたがっている部分も含めた床面積は180.93平方メートル(うち本件敷地上の建物床面積は約66平方メートル)である。

本件店舗は、鉄骨波形鋼板葺平家建て総床面積71.5平方メートルで、全て本件敷地上に建築され、本件待合フロアーとは障壁を隔てずにつながっており、バッティングセンターの利用客は両建築物を自由に行き来して待合フロアーで休憩したり、店舗で野球用品を購入することができるようになっている。

また、本件倉庫は、プレハブ式平家建て床面積約35平方メートルであり、全て本件敷地上に建築されている。なお、本件建築物のいずれについても登記がされていない。

B 被相続人とFとの間で権利金の授受はなく、また、本件土地について賃借権設定の登記はされていない。

(ロ)ところで、評価通達9の(5)、同通達にいう借地権とは借地借家法第2条第1号に規定する建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権をいう旨定めているところ、この「建物の所有を目的とする」とは、借地使用の主たる目的がその地上に建物を建築し、これを所有することにある場合をいい、借地人がその地上に建物を建築し所有しようとする場合であっても、それが借地使用の主たる目的ではなく、その従たる目的にすぎないときは、「建物の所有を目的とする」ものに該当しないと解される

(ハ)以上を本件についてみると、前記事実を総合すれば、賃借人Fは、本件敷地を含む本件土地を昭和53年ころから本件相続開始日まで引き続いてバッティングセンター経営の事業用地として利用し、本件待合フロアー及び本件店舗はバッティングセンターと構造上一体となっており、本件倉庫も含めて本件構築物はいずれもバッティングセンターの経営に必要な付属建築物として建築されたものと認められるから、本件土地の賃貸借の主たる目的は、バッティングセンターとして使用することにあるといえる。

そうすると、Fが本件建築物を建築所有していたとしても、それは本件土地をバッティングセンターとして使用するための従たる目的にすぎないというべきであるから本件土地の賃貸借は、借地借家法第2条第1号に規定する建物の所有を目的とする賃借権に該当せず、したがって、本件敷地には、評価通達9の(5)の定める借地権は存在しない

なお、請求人は、本件建築物は誰が見ても通常の建物であり、本件敷地部分には評価通達に定める借地権がある旨主張するが、前記認定事実に照らせば、本件賃貸借契約において、契約当事者が本件建築物の敷地部分のみを切り離して建物所有目的としていたとはいえないから、請求人の主張には理由がない。

裁決要旨

評価通達にいう借地権とは借地借家法第2条第1項に規定する建物の所有を目的とする地上権又は賃借権をいい、この「建物の所有を目的とする」とは、借地使用の主たる目的がその地上に建物を建築し、これを所有することにある場合をいうのであるから、借地人がその地上に建物を建築し、所有使用とする場合であっても、それが借地使用の主たる目的ではなく、その従たる目的にすぎないときは、「建物の所有を目的とする」に当たらないと解され

これを本件についてみると、賃借人は本件敷地を含む本件土地を昭和53年ころから本件相続開始日まで引き続いてバッティングセンター経営の事業用地として利用し、本件待合フロアー等はバッティングセンターと構造上一体となっており、本件建築物はいずれもバッティングセンターの経営に必要な付属建築物として建築されたものと認められるから、本件土地の賃貸借の主たる目的は、バッティングセンターとして使用することにあると言える。

 そうすると、賃借人が本件建築物を建築所有していたとしても、それは本件土地をバッティングセンターとして使用するための従たる目的にすぎないというべきであるから本件賃貸借は、借地借家法第2条第1項に規定する建物の所有を目的とする賃借権に該当せず、したがって、本件敷地には、借地権は存在しない平成12年6月27日裁決)。

 

 

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