簡易鑑定をおすすめしない理由

不動産鑑定評価書は、不動産の鑑定評価に関する法律第39条に基づいて、不動産鑑定業者が依頼者に対して発行する文書で、その内容は不動産鑑定士が作成することになります。

不動産鑑定書国土交通省は、不動産鑑定士が不動産鑑定を行うに当たっての不動産鑑定評価基準等を定めており、その基準等に則って作製されたものを不動産鑑定書(一般鑑定又は本鑑定という場合もあります)と呼んでいます。

たとえば更地の鑑定評価の場合、不動産鑑定評価基準では「更地や自用の建物及びその敷地の取引事例に基づく比準価格と土地残余法による収益価格を関連付けて決定する。

再調達原価が把握できる場合には積算価格をも関連付けて決定する。

又、更地の面積が、近隣地域の標準的な土地の面積に比べて大きい場合には開発法による試算価格をも比較考量して決定することになります。

実務上、上記の手法を使うことができない場合には、その理由を不動産鑑定書に明記することになっています。このように不動産鑑定書という名の基に書類を発行するには厳格な基準に基づいている必要があります。

平成22年1月に国土交通省による「価格等調査ガイドライン」が施行されて、不動産鑑定評価基準に基づいて行われる鑑定評価(不動産鑑定)と不動産鑑定評価基準に基づかないで行われる価格等調査(簡易な価格調査)とに区分されました。

その結果、不動産鑑定評価基準に定める手法の一部のみを適用して価格を求めた書類は不動産鑑定書又は評価という名称を用いてはならないことになりました。

よって簡易鑑定書等という言葉は使えなくなりました。書類の表紙以外にも鑑定とか評価という言葉は使えなくなったのは言うまでもありません。

弊社においては、不動産鑑定を行うにあたり、例えば上記の更地の鑑定において比準価格及び収益価格を関連付けて更地価格を決定するにおいても価格の開差が生じてしまう傾向が高くその調整に苦労をするにもかかわらず、簡易鑑定(強いてこの言葉を使います。本来は簡易査定等といいます。)では比準価格一本で更地価格を決定することになったならば、不動産鑑定による更地価格と大きな開きがでてくる可能性があります。

したがって弊社ではそのような誤解を招くようなことをしないで不動産鑑定評価書以外の書類を発行しないことにいたしました。

簡易鑑定は死語

又、国土交通省の「価格等調査ガイドライン」が施行されてからは簡易鑑定と言う言葉は死語になっていることを付記します。

簡易な査定書は、社内で一つの目安として使う場合は、構わないと思いますが、対外的な資料として簡易な査定書を提出すれば、後々問題が生じる可能性があります。内部での資料として使われることをお勧めします。

 
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著書:土地評価の実務 /  広大地評価の重要裁決事例集 / 広大地評価判定の実務

 

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