本件各土地は、開発にあたって公共公益的施設用地の負担が必要な土地なので、広大地の適用はあるとした事例(関東信越・公開、平成28年2月29日裁決)

本件各土地の概要

(1)本件1土地

本件1土地は、幅員約16mの市道に接面する地積1,013㎡のおおむね長方形の土地である。広大地に該当するとした事例の画像本件1土地は、駅から約1.3kmに位置する。
本件相続開始時において本件土地は、使用目的を簡易倉庫及びコンテナ置場として賃貸されている。
本件1土地の属する用途地域は、準工業地域(建ぺい率60%、容積率200%)である。

(2)本件2土地

本件2土地は、幅員約8.5mの県道に接面する地積633㎡のおおむね長方形の土地である。
本件土地は、駅から約1.1kmに位置する。
本件相続開始時において貸家(工場作業場)の敷地として利用されていた。
本件2土地の属する用途地域は、準工業地域(建ぺい率60%、容積率200%)である。

(3)本件3土地

本件3土地は、その北側で幅員約16mの市道、その西側で幅員約3mの市道に接面する地積2,254㎡のおおむね長方形の土地である。
本件3土地は、駅から約1.3kmに位置する。
本件相続開始日において、駐車場用地として利用されていた。
本件3土地の属する用途地域は、準工業地域(建ぺい率60%、容積200%)である。

争点

本件各土地は、広大地に該当するか否か。

原処分庁の主張

広大地該当性について

(イ) 本件1土地から本件3土地までの各土地について

原処分庁主張地域①においては、本件相続の開始時、工場及び事務所4棟並びにマンション1棟が存していることから、その宅地の標準的使用は、工場又はこれに準ずる施設の敷地であり、標準的な宅地の地積は、1,200平方メートルから14,000平方メートル程度である。

そうすると、本件1土地から本件3土地までの各土地は、いずれも、その地積が原処分庁主張地域①における標準的な宅地の地積の上限を超えるものではないから、著しく地積が広大な土地とは認められない。

請求人らの主張

広大地該当性について

(イ) 請求人ら主張地域において、昭和52年以降現在までに開発された戸建分譲住宅19区画の平均敷地面積は、110.45平方メートルである。

また、本件相続の開始時において、請求人ら主張地域には地価公示の標準地が存在しないものの、a市b町並びにb町に隣接する同市n町及びp町の準工業地域にある地価公示の標準地6地点の平均地積は、約146平方メートルである。

これに請求人ら主張地域における敷地面積の最低限度が100平方メートルであること等を総合勘案すると、請求人ら主張地域における標準的な宅地の地積は、100平方メートルから120平方メートル程度というべきである。

そうすると、本件各土地は、いずれも、請求人ら主張地域における標準的な宅地の地積に比して著しく地積が広大な土地に該当する。

(ロ) 請求人ら主張地域における標準的な宅地の地積が上記(イ)のとおりであること並びに本件各土地の形状、公道との接面状況及び地積等を踏まえると、本件各土地の開発行為を行うに当たっては、別図3のとおり、いずれも、道路を開設するのが経済的に最も合理的である。

そうすると、本件各土地は、いずれも、開発行為をするとした場合に公共公益的施設用地の負担が必要な土地である。

(ハ) したがって、本件各土地は、いずれも広大地に該当する

審判所の判断

(1)広大地通達への当てはめ

イ 本件1土地から本件3土地までの各土地について

(イ) 審判所認定地域①においては、戸建住宅の戸数はその地域における建築物の約7割を占めており、本件相続が開始した平成23年から過去10年の間には3棟の中高層の集合住宅の建築もある一方で戸建住宅敷地としての分譲もされていることからすると、審判所認定地域①における宅地の標準的使用は戸建住宅の敷地であると認められる。

なお、広大地通達は、広大地の定義からマンション適地(広大地通達に定める中高層の集合住宅等の敷地用地に適している土地をいう。以下同じ。)を除外しているところ、広大地通達の趣旨に鑑みれば、評価対象地がマンション適地であると認められる場合とは、「その地域」におけるマンション等の建築の状況、用途地域・建ぺい率・容積率や地方公共団体の開発規制、交通、教育、医療等の公的施設や商業地への接近性等を総合勘案して、評価対象地をマンション等の敷地とすることが経済的に最も合理的であると認められる場合を指すと解するのが相当である。

そして、本件の場合、審判所認定地域においては中高層の集合住宅が10棟存しているものの、上記の事情に加え、本件1土地から本件3土地までの各土地の容積率は200%であり、いずれもe駅から徒歩で15分前後を要する場所に位置し、最寄り駅との接近性に優れているともいいきれないこと、平成22年以降マンションの建築が進められている事実はなく、マンションの敷地としての利用に地域が移行している状況にはないことなどを総合勘案すると、本件1土地から本件3土地までの各土地は、マンション適地とは認められない。

そして、審判所認定地域①における建築物の敷地面積の最低限度が100平方メートルであり、戸建住宅の敷地面積の平均が約110平方メートルであること、及び、a市b町の準工業地域に指定された地域にある地価公示の標準地(2地点)の平均地積は約139平方メートルであることが認められ、これらの事情に照らせば、審判所認定地域①における標準的な宅地の地積は、110平方メートル程度と認めるのが相当である

そうすると、地積が1,013平方メートルの本件1土地、地積が633平方メートルの本件2土地及び地積が2,254平方メートルの本件3土地は、いずれも「その地域における標準的な宅地の地積に比して著しく地積が広大な宅地」であると認められる。

(ロ) 当審判所の調査の結果によれば、本件1土地から本件3土地までの各土地の形状や公道への接面状況は、別図3のとおりであると認められるところ、これらの状況に鑑みると、請求人らが主張する開発想定図(別図3)は、いずれも審判所認定地域①における標準的な宅地の地積(110平方メートル程度)を踏まえて、同地積に近似した面積によって整形に区画割する方法によるものであり、開発方法として十分な合理性を有するものであると認められる。

なお、本件2土地については、その南側に市道s号線が通っているが、本件2土地と当該市道の間には水路が通っているため、本件2土地の南側を進入経路とする宅地開発ができないから、別図3のとおり道路を開設しての開発行為が合理的と認められる。

したがって、本件1土地から本件3土地までの各土地については、道路を開設する開発行為が経済的に最も合理的であり、開発行為を行う場合に公共公益的施設用地の負担が必要と認められる。

(ニ) 以上によれば、本件1土地から本件3土地までの各土地は、いずれも広大地に該当する。

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コメント

イ.広大地の評価判定をするにあたっては、下記の項目に注目し、調査を進めることが大切です。

その地域における用途地域・建ぺい率・容積率や地方公共団体の開発規制等が厳しくなく、交通、教育、医療等の公的施設や商業地への接近性(社会的・経済的・行政的見地)から判断して中高層の集合住宅等の敷地用地に適していると認められる場合

その地域に現に中高層の集合住宅等が建てられており、また、現在も建築工事中の者が多数ある場合、つまり、中高層の集合住宅等の敷地としての利用に地域が移行しつつある状態で、しかもその以降の程度が相当進んでいる場合

上記2項目をチェックすれば、マンション適地等か戸建住宅なのかそれ以外なのかが分かってきます。

本件においては、審判所は下記のように指摘し、広大地であると決断しました。

広大地通達の趣旨に鑑みれば、評価対象地がマンション適地であると認められる場合とは、「その地域」におけるマンション等の建築の状況、用途地域・建ぺい率・容積率や地方公共団体の開発規制、交通、教育、医療等の公的施設や商業地への接近性等を総合勘案して、評価対象地をマンション等の敷地とすることが経済的に最も合理的であると認められる場合を指すと解するのが相当である。そして、本件の場合、審判所認定地域①においては中高層の集合住宅が10棟存しているものの、上記の事情に加え、本件1土地から本件3土地までの各土地の容積率は200%であり、いずれもe駅から徒歩で15分前後を要する場所に位置し、最寄り駅との接近性に優れているともいいきれないこと、平成22年以降マンションの建築が進められている事実はなく、マンションの敷地としての利用に地域が移行している状況にはないことなどを総合勘案すると、本件1土地から本件3土地までの各土地は、マンション適地とは認められない。』また、「したがって、本件1土地から本件3土地までの各土地については、道路を開設する開発行為が経済的に最も合理的であり、開発行為を行う場合に公共公益的施設用地の負担が必要と認められる。

(ニ) 以上によれば、本件1土地から本件3土地までの各土地は、いずれも広大地に該当する。

と結論づけました。

即ち、その地積とその地域の戸建住宅の平均敷地面積との検討を行い、標準的な宅地の地積を判定した結果、その地域の標準的な宅地の地積に比して著しく地積が広大な土地であると認められたので開発想定図を作成したら、公共公益的施設用地が必要であり、開発方法は十分な合理性があるということで広大地として認められました。

その地域の分析及び図面作成等説得力ある内容であることが認められた結果だと思います。

 

広大地は、昨年(H29年)12月31日をもって「地積規模の大きな宅地の評価」に変わりましたが、広大地を使った相続税還付はこれからも活用できます。

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