本件土地評価において、いずれも評価基本通達の定めによらないことが正当と認められる特別な事情はないとした事例(その3)(東裁(諸)平25第16号 平成25年7月18日裁決)

本件各土地の概要

(1)本件C土地

イ 本件C土地の地積は、2,364.90㎡の土地で、■■から約1.9kmに位置する。本件C土地の属する用途地域は、第一種低層住居専用地域(建ぺい率50%、容積率100%)である。

争点

本件各土地の価額の評価について、評価基本通達の定めによらないことが正当として是認されるような特別の事情があるか否か。

原処分庁の主張

相続により取得した財産の価額は、課税の公平の観点から、評価基本通達の定めによらないことが正当として是認されるような特別の事情がある場合を除き、評価基本通達に定められた評価方法により評価することが相当であるところ、次のとおり、請求人らが主張する本件各土地の各価額は、本件各土地の時価を適正に示している価額とはいえず、本件各土地の各価額の評価について、評価基本通達の定めによらないことが正当として是認されるような特別の事情はない。

(1)本件C土地の価額について

請求人らが主張する売却価額等に基づく価額は、本件相続開始日における客観的な交換価値であるとする具体的な証明もなく、独自の見解にすぎないのであるから、合理的なものとは認められず、本件C土地の時価を適正に示しているものとは認められない。

したがって、本件C土地の価額は、評価基本通達の定めにより評価した価額(84,284,164円)によるべきである。

請求人らの主張

本件C土地の価額は、次の価額(時価)によるべきであり、原処分庁が評価基本通達の定めにより評価した本件C土地の価額は、当該時価を上回ることから、本件C土地の価額の評価について、評価基本通達に定める評価方法によらないことが正当と認められる特別の事情がある。

(1)本件C土地の価額について

本件C土地(2,364.90㎡)のうち、本件相続開始日から約1年後に売却した部分(1,995.64㎡)の価額は、具体的交換価値を示す売却価額(72,441,600円)を基に、当該価額を時点修正した金額から売却に付随して発生した費用等を控除した価額(58,681,912円)とし、当該売却した部分以外の部分(369.26㎡)の価額は、本件C土地全体を広大地通達により評価した価額について面積であん分した価額(13,163,749円)とすべきであり、本件C土地の価額は、これらの価額の合計額(71,845,661円)によるべきである。

 

審判所の判断

(1)認定事実

本件C土地は、西側及び南側でそれぞれ市道に接するほぼ平たんな不整形な土地で、本件相続開始日において、山林となっていた。

(2)当てはめ

相続により取得した財産の価額は、評価基本通達の定めによらないことが正当として是認されるような特別の事情がある場合を除き、評価基本通達に定められた評価方法により評価した価額によることが相当である。

請求人らは、本件各土地の価額について、それぞれ請求人らの主張する価額は本件相続開始日における本件各土地の時価であり、当該価額を上回る原処分庁の評価基本通達の定めにより評価した価額はいずれも時価を上回る価額であるから、本件各土地には評価基本通達の定めによらないことが正当として是認されるような特別の事情がある旨主張しているので、以下、請求人らの主張する価額について、順次検討する。

イ.本件C土地の価額について

請求人らは、本件C土地の価額は、別紙4の2のとおり売却価額を時点修正した金額から売却に付随して発生した費用及び譲渡所得にかかる税額を控除して求めた売却部分の価額に、本件C土地全体の地積による広大地補正率を適用した残地部分の価額を加えた価額とすべきである旨主張する。

しかしながら、請求人らの主張する売却部分の評価方法は、売却価額から当該売却に要した費用及び所得税を控除して求めるものであるから、土地の客観的交換価値を把握する評価方法として合理性を認めることはできず、さらに、他方では、残地部分についてのみ広大地通達により評価しており、請求人らの評価方法は、一貫性のない評価方法であると言わざるを得ず、採用することはできない。

ロ.結論

以上のとおり、請求人らの主張する本件各土地の評価方法は、いずれも合理性があるとは認められないことから、請求人らの主張する各価額は、本件相続開始日における本件各土地の客観的交換価値を示しているとは認められず、ほかに評価基本通達の定めにより評価した価額が本件各土地の時価を上回るとする事実も認められないことから、本件各土地の評価について、いずれも評価基本通達の定めによらないことが正当と認められる特別な事情はないといえる。

したがって、本件各土地の価額は評価基本通達の定めに基づき評価することが相当である。

本件各土地の評価基本通達の定めに基づく価額

以上より、投資何班所が本件各土地の価額を評価基本通達の定めに基づき評価すると、別紙6の1ないし4のとおりとなる。

以上

 

本件C土地

(正面路線価)(広大地補正率)

74,000円×(0.6-0.05× )×2,364.90㎡=84,308,377円(評価額)

(注)地積は、実測地積による。

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コメント

本件のテーマは、財産評価基本通達の定めによらないことが正当と認められる特別な事情があるか否かです。

相続税法22条では、相続、遺贈又は贈与により取得した財産の価額は、当該財産の取得の時価による旨定めています。
しかし財産評価基本通達1(2)時価の意義において「財産の価額は、時価によるものとし、時価とは、課税時期において、それぞれの財産の現況に応じ、不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額をいい、その価額は、この通達の定めによって評価した価額による」と記載されています。

したがって、財産の価額はこの通達の定めに従って評価するのですが、財産のすべてがこの通達の定めに従って適正な評価が可能とは限らないので、財産評価基本通達総則6項(この通達の定めにより難い場合の評価)において「この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する」と定めていますので、この通達によらない方法で評価する場合もあります。

本件は、この評価基本通達の定めによらないことが正当と認められる特別な事情があるか否かが問われた事例ですが、審判所は、「請求人らの主張する売却部分の評価方法は、売却価額から当該売却に要した費用及び所得税を控除して求めるものであるから、土地の客観的な交換価値を把握する評価方法として合理性を認めることはできず、さらに、他方では、残地部分についてのみ広大地通達により評価しており、請求人らの評価方法は、一貫性のない評価方法であると言わざるを得ず、採用することはできない」と言い切りました。

本件においては、土地の時価は、評価基本通達24-4(広大地の評価)の定めに基づき評価されました。しかし、財産の全てが評価基本通達の定めで網羅できるかは甚だ疑問です。この総則6項の規定にある「著しく不適当」がどのような場合をいうのか、具体的に示されていないので争いが絶えないのも事実です。

 

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