本件土地の最有効使用を考慮すると、中高層の集合住宅の敷地であると認められるので、本件土地は広大地には該当しないとした事例
(大裁(諸)平21第40号 平成22年3月5日裁決)

1.本件土地の概要

本件土地は○駅の東方約0.8kmに位置する。

現況:駐車場、前面道路は約4.7m公道に接面すると共に、里道に接面するが、里道は建築基準法上の道路に該当しません。

第1種住居地域(建ぺい率60%、容積率200%)広大地に該当しないとした事例

周辺の利用状況は、

北側:倉庫・事務所用建物(2階建)

倉庫用建物(2階建)

北東側:店舗建物(2階建)

南東側:事業用建物(3階建)

道路を挟んで本件土地の南側:集合住宅(賃貸マンション)(6階建)

西側:戸建住宅

2.請求人らの主張

(1)最有効使用を行った場合の標準的な宅地の地積をもって、「その地域における標準的な宅地の地積」とすることが適当である。

(2)そして、本件土地の最有効使用が宅地分譲であることから、広大地通達で定めるその地域における標準的な宅地の地積は、本件土地の属する○○○の一戸建て住宅地の平均的な地積である100㎡ないし200㎡として考えるべきであり、本件土地は、地積が○○○であることから、その地域における標準的な宅地の地積に比して著しく地積が広大な土地である。

したがって、本件土地は、広大地通達で定める広大地に該当する。

3.原処分庁の主張

(1)上記の現状からすると、広大地通達で定めるその地域、すなわち、利用状況や環境等がおおむね同一と認められるひとまとまりの地域は、原処分庁主張地域である。

そして、原処分庁主張地域内の土地の利用状況は、一部は一戸建住宅地として利用されているものの、大部分は、2階建から7階建の共同住宅、倉庫及び店舗事務所用地として利用されていることから、広大地通達で定めるその地域における標準的な宅地の地積は、原処分庁主張地域の1区画当たりの宅地の平均地積である○○○であると認められるのに対し、本件土地の地積は○○○である。

したがって、本件土地は、その地域の標準的な宅地の地積に比して著しく広大であるとはいえないことから、広大地通達で定める広大地には該当しない。

(ロ)本件土地の最有効使用の方法

A, 商業施設等の敷地としての使用の検討

本件東地域において2箇所の商業施設等の敷地が含まれており、本件土地が2箇所の商業施設等の敷地よりも○○に近い位置にある…が本件土地は○○沿いの宅地に比して商業施設としての利用には適さない部分が認められ本件土地が商業施設等の敷地に適していると認めることはできない。

B, 戸建住宅地としての使用の検討

本件土地は、いずれも交通量が多い○○と○○が交わる交通の要所に近いところに位置し、○○沿いには戸建住宅は存在しない上、本件東地域の戸建住宅の開発が進んでいる状況は認められず、本件土地が戸建住宅地に適していると認めることはできない。

C, 集合住宅としての使用の検討

本件東地域の宅地の標準的な使用方法のうち商業施設等の敷地以外に中高層の集合住宅の敷地としてのニーズが多分に認められる。

本件土地の…南方には6階建の集合住宅があり、同建物の敷地の状況は、本件土地に類似していることが認められる。当該賃貸マンションの入居状況も良好である。それは○○まで直線距離で0.8kmであること及び道路交通の要所であることなどの理由である。したがって本件土地は閑静な住環境以上に交通の利便性を重視したニーズが高い地域にあると認めるのが相当である。

D, 以上を総合考慮すると本件土地の最有効使用は中高層の集合住宅の敷地と認められるのが相当である。

したがって、広大地には該当しないというべきである。

4.審判所の判断

イ 広大地通達について

(イ)なお、広大地通達では、広大地から除かれる土地として、中高層の集合住宅等の敷地用地に適しているもの(その宅地について、経済的に最も合理的であると認められる開発行為が中高層の集合住宅等を建築することを目的とするものであると認められるもの)を定めている。

これは、戸建て住宅分譲用地として開発した場合に、道路等の潰れ地が生じる土地に広大地の適用があることを前提としているものの、マンション等の敷地の用に細分化せずに一体として有効利用できる場合には、地積過大による減価を行う必要がないことから、このように定められたものと解される。

このことは、土地評価の適正化のために定められた土地価格比準表(昭和50年1月20日付国土庁土地局地価調査課長通達「国土利用計画法の施行に伴う土地価格の評価等について」。ただし、平成6年3月15日付国土地第56号に改正後のもの。)において、「一体利用することが市場の需給関係等を勘案して合理的と認められる場合には、地積過大による減価を行う必要がないと定められていることとも整合するものであり、当審判所においても相当と認められる。

したがって、評価対象地が中高層の集合住宅等の敷地用地に適しているものと認められる場合には、通常、公共公益的施設用地となる部分の地積の負担が生じないため、広大地の評価の適用がないとする広大地通達の定めは、当審判所においても相当であると認められる。

ロ 本件土地の広大地該当性

(イ)その地域の範囲

○○○、○○○及び○○○の3地域は、利用状況、環境等がおおむね同一であり、商業施設等又は中高層の集合住宅の用途に供されることを中心としたひとまとまりの地域と認められるから、本件土地に係る広大地通達における「その地域」とは、○○○、○○○及び○○○に相当する地域(以下「本件東地域」という。)であると認めるのが相当である。

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コメント

① 本事例においては、広大地通達における「その地域」の範囲について争いになっています。

「その地域」は利用状況, 環境等がおおむね同一であり,ひとまとまりの地域と認められる地域をその地域として定めることになりますが、審判所は「商業施設等または中高層の集合住宅 の用途に供されることを中心としたひとまとまりの地域」をその地域と決めました。その背景として、本件土地の概要に記載されている周辺の利用状況です。

北側:倉庫・事務所用建物(2階建て)・倉庫用建物(2階建て) 北東側:店舗建物(2階建て)

南東側:事業用建物(3階建て) 道路を挟んで本件土地の南側:集合住宅(賃貸マンション)(6階建て) 南側:戸建住宅 これを見て、「あれ! 戸建住宅がほとんどない。これでは、広大地として認められないか も」と思ってしまいます。本件土地の隣接地の四囲の少なくとも半分程度が戸建住宅であることが一つのポイントになるかもしれません。すべてにあてはまるわけではありませんが、一つ の目安にはなるだろうと思います。 2 審判所は、本件土地はマンション適地であることを立証する証明として,本件土地の南側に6階建ての集合住宅があり,同建物の敷地の状況が本件土地に類似しているし、 ○○駅に近いし、道路交通の要所であり,本件土地の最有効使用は中高層の集合住宅であるから、広大地 には該当しないといっています。そういう意味では、隣接地にマンションがあること,対象地 と同じ程度の規模の土地がマンションに利用されていること等を理由にマンション適地と判断されますので要注意です。

 

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