その地域において路地状開発事例が1件認められ、路地状開発を行うことが不自然ではないなどからすると、路地状開発を行うことが合理的と認められる。よって、本件土地は広大地に該当しないとした事例(東裁(諸)平26第91号 平成27年4月6日裁決)

 

1.本件土地の概要

本件土地の地積は452.47㎡で、幅員約8mの道路に接面する不整形な宅地である。駅から約750mに位置する。本件土地が属する用途地域は、第1種住居地域(建ぺい率60%、容積率200%)である。広大地に該当しないとした事例

2.争点

本件土地は、本件通達に定める広大地に該当するか否か。

3.請求人らの主張

本件土地は、次の理由から、本件通達に定める広大地に該当する。

(1)本件通達における「その地域」について

「その地域」は、本件土地の所在する近隣地域を指し、具体的には、別図1の太い実線で囲まれた部分。以下「請求人ら主張地域」という。)である。

(2)本件通達における「標準的な宅地の地積」について

請求人ら主張地域における標準的使用は戸建住宅の敷地であるところ、■■■を最寄り駅とする戸建住宅に係る売買事例に130㎡を超える事例はないこと、及び建物の用途及び規模、■■■の開発などに関する条例等をも勘案して判断すると、請求人ら主張地域における「標準的な宅地の地積」は、80㎡ないし130㎡である。

(3)本件通達における「公共公益的施設用地」の負担の要否について

本件土地の所在する■■■■は、地価水準が高く、住宅地としての品等が重視されることから、路地状敷地を利用した分割は少なく、請求人ら主張地域及びその周辺における規模の大きい土地の分割は道路の新設により行われている。

そうすると、本件土地については、別図2のとおり、道路を新設し、標準的な戸建住宅の地積(80㎡ないし130㎡)となるよう4区画に分割するのが相当であるから、公共公益的施設用地の負担は必要となる。なお、路地状開発には経済的合理性は認められない。

4.原処分庁の主張

本件土地は、次の理由から、本件通達に定める広大地に該当しない。

(1)本件通達における「その地域」について

「その地域」は、本件土地の所在する都市計画法上の用途地域(第一種住居地域)のうち、(別図1の破線で囲まれた部分。以下「原処分庁主張地域」という。)である。

(2)本件通達における「標準的な宅地の地積」について

イ 「標準的な宅地の地積」とは、上記(1)の「その地域」の標準的な使用方法における宅地の地積をいうものであるところ、原処分庁主張地域は共同住宅と戸建住宅が混在する地域ではあるものの、当該地域においては、本件相続に係る相続財産を含め多棟存している共同住宅の敷地として利用されている一方で、戸建分譲開発が近年行われていないことを併せ考えた結果、原処分庁主張地域における宅地の標準的な使用方法は、共同住宅の敷地であると認められる。

なお、「その地域」における標準的な使用方法は、評価時点における現実の利用状況を重視して判断すべきものであって、売買件数の多寡によってのみ判断すべきものではない。

ロ 上記イのとおり、原処分庁主張地域における宅地の標準的な使用方法は、共同住宅の敷地であるところ、①本件土地に近接する宅地の上にある本件相続に係る相続財産である共同住宅のほかに、当該共同住宅と同規模程度の共同住宅が多棟存しており、これらの共同住宅の敷地の地積が240㎡ないし460㎡程度であること、②原処分庁主張地域に存する共同住宅(本件相続に係る相続財産を除く。)の敷地の地積の平均が約438.10㎡であることから、原処分庁主張地域における「標準的な宅地の地積」は、240㎡ないし460㎡程度であると認められる。

(3)本件通達における「公共公益的施設用地」の負担の要否について

上記(2)のとおり、原処分庁主張地域における「標準的な宅地の地積」は、240㎡ないし460㎡程度であるから、本件土地の地積(452.47㎡)は、その標準的な宅地の地積に比して著しく地積が広大であるとまでは認められない。

したがって、本件土地について、公共公益的施設用地の負担の要否を判断する必要はない。

5.審判所の判断

当てはめ

イ 本件土地に係る「その地域」について

(イ)本件土地に係る「その地域」について

その四方を囲まれた地域(本件A地域)と、本件A地域の南側の■■■■のうち、本件土地と公法上の規制が同一である地域(都市計画法上の用途地域が第一種住居地域(建築基準法上の建ぺい率は60%、容積率は200%)であり、宅地造成工事規制区域外の地域)(本件B地域)、すなわち、本件C地域と認められる(別図4)。

ロ 本件土地が「その地域」における標準的な宅地の地積に比して著しく地積が広大な宅地に当たるか否か及び本件土地における「公共公益的施設用地の負担」の要否について

本件土地に係る「その地域」である本件C地域における標準的使用(その地域で一般的な宅地の使用方法)は、本件C地域は戸建住宅や共同住宅の敷地として利用されていることから、戸建住宅及び共同住宅の敷地と認めるのが相当である。

(イ)標準的使用が戸建住宅の敷地の場合

A 「標準的な宅地の地積」について

上記のとおり、「標準的な宅地の地積」は、本件土地の付近で、状況の類似する地価公示の標準地又は都道府県地価調査の基準地の地積、本件土地の付近の標準的使用に基づく宅地の平均的な地積などを総合勘案して判断することとなるが、本件C地域には地価公示の標準地又は都道府県地価調査の基準地のいずれも存在せず、本件C地域における戸建住宅の敷地の地積は、その約9割が200㎡未満であり、それらの平均地積は98.457㎡であることから、戸建住宅の標準的な宅地の地積は、おおむね100㎡程度と認められる。

B 「標準的な宅地の地積に比して著しく地積が広大な宅地」であるか否かについて

本件土地の地積は、452.47㎡であるところ、本件C地域における戸建住宅の標準的な宅地の地積は、上記のとおり、おおむね100㎡程度であることから、本件土地は、本件C地域における戸建住宅の標準的な宅地の地積に比して著しく地積が広大な宅地に当たると認められる。

C 「公共公益的施設用地の負担」について

当審判所は、、本件土地については、本件土地の分割図(別図5)のように路地状開発を行うことが合理的であると判断した。

すなわち、①路地状部分を有しない2区画の土地と路地状部分(奥行約9m。幅員2.5m)を有する2区画の土地の合計4区画に分割して開発することが可能であり、分割した各地の地積は、路地状部分(約20㎡)を除けば、標準的な宅地の地積とほぼ同じであること、②このような区画割りは、都市計画法、建築基準法、都道府県等の条例等の法令に反していないこと③本件土地は、都市計画法上の第一種住居地域に所在し、建築基準法上の建ぺい率及び容積率はそれぞれ60%及び200%と制限されていることからすると、路地状開発を行った場合は、建築基準法上の建ぺい率及び容積率の算定に当たり、路地状部分の面積も敷地面積に含まれることになり、請求人らが主張する本件土地の分割図(別図2)のとおりに道路を開設する場合に比べ、より広い建築面積及び延床面積の建物等を建築することが可能であり、建ぺい率及び容積率の計算上有利であること、④本件C地域においては、道路を開設して開発された事例は存在しない一方、路地状開発が行われた事例が1件あり路地状開発が一般的とまではいえないまでも、不自然ともいえないこと、加えて、請求人らが主張する本件土地の分割図(別図2)のように道路を開設する場合に比べ、別図5のように路地状開発を行った方が相対的に形状が整った画地に分割することが可能であることを総合的に勘案した結果、本件土地については、別図5のように路地状開発を行うことが合理的であると判断した。

D そうすると、本件土地については、経済的に最も合理的に戸建住宅の分譲を行った場合にその開発区域に道路の開設が必要であるとは認められないことから、本件土地は、「公共公益的施設用地の負担」が必要な宅地であるとは認められない。

(ロ)標準的使用が共同住宅の敷地の場合

上記のとおり、「標準的な宅地の地積」は、本件土地の付近で、状況の類似する地価公示の標準地又は都道府県地価調査の基準地の地積、本件土地の付近の標準的使用に基づく宅地の平均的な地積などを総合勘案して判断することとなる。

この点、本件C地域には地価公示の標準地又は都道府県地価調査の基準地のいずれも存在しないが、本件C地域における共同住宅の敷地の地積は、最少80㎡以上から最大1,900㎡未満の幅広い範囲に分散しており、特定の範囲には集中していないこと、また、本件C地域における共同住宅の敷地の地積の中央値は343.07㎡であって、本件土地の地積はその約1.3倍にとどまること、さらに、本件C地域における共同住宅の敷地の地積の平均値は501.16㎡であって、本件土地よりも広いこと、加えて、本件土地の地積(452.47㎡)と同程度の地積の敷地も複数存在していることから、本件土地の地積は、本件土地に係る「その地域」(本件C地域)における共同住宅の標準的な宅地の地積に該当し得るものである。

そうすると、本件土地は、少なくとも本件C地域における共同住宅の標準的な宅地の地積に比して著しく地積が広大な宅地であるとは認められない。

ハ まとめ

以上のとおりであるから、本件土地は、本件通達に定める広大地に該当しない。

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