小林穂積のX投稿
◆著しく低い価額か否かについて
相続税法7条では、著しく低い価額について何らの定義はなく、所得税法では著しく低い価額とは時価の1/2未満と定義しています。
なお、多くの判決では、譲受の事情、譲受価額と時価の対比、市場価格との動向等を勘案して実質的な贈与があったどうかで、著しく低い価額か否かを判断しています。— 大阪の不動産鑑定士事務所|株式会社アプレイザル総研 (@appraisalsouken) November 10, 2024
◆売買契約は有効か否か!
平成2年に65億円の不動産を手付金19億円余、残金は3年後という契約を結んだが、その間に地価は下落し、買主は契約は無効だと主張し、手付金等19億円の返還を求め争った。大阪地裁は、契約は有効とし、手付金の返還は認めなかった。H7.4.12
— 大阪の不動産鑑定士事務所|株式会社アプレイザル総研 (@appraisalsouken) November 21, 2024
◆賃料不払いによる借地契約解除
借地人Aは地主Xの承諾を得てBに土地を転貸した
Aが賃料の支払を怠ったので、XはAに対して賃料不払に基づき、賃貸借契約を解除すると共に、Bに対して土地の明渡しを請求した
最高裁は、賃貸人に賃料不払を理由に契約を解除するには、転借人に賃料の代払いの機会を与える必要はないとした 最判H6.7.18— 大阪の不動産鑑定士事務所|株式会社アプレイザル総研 (@appraisalsouken) April 16, 2023
◆賃料不払いによる無催告解除
借地人Aは地主Xの承諾を得てBに土地を転貸した
Aが賃料の支払を怠ったので、XはAに対して賃料不払に基づき、賃貸借契約を解除すると共に、Bに対して土地の明渡しを請求した
最高裁は、賃貸人に賃料不払を理由に契約を解除するには、転借人に賃料の代払いの機会を与える必要はないとした 最判H6.7.18— 大阪の不動産鑑定士事務所|株式会社アプレイザル総研 (@appraisalsouken) April 16, 2023
◆路線価は公示価格の8割
国税庁は毎年7月頃路線価を発表。路線価は相続税の評価に活用され公示価格の8割程度になったのは平成4年からです。
昭和60年頃は路線価は公示価格の3~5割程度でした。従って1億円の土地は路線価3000~5000万円。
そうなると借金してでも土地を買うのが節税になるので規制をしたという事ですね。— 大阪の不動産鑑定士事務所|株式会社アプレイザル総研 (@appraisalsouken) December 17, 2022
◆条件変更承諾料
条件変更承諾料とは、借地上の建物を建替える際の承諾の対価です。例えば非堅固な建物を堅固に建替える場合です。借地非訴事件では、更地価格の10%前後で決まる事が多いです。
近隣商業地域準防火地域に指定され、堅固な建物の建替えで15%とした事例があります。名地裁S51— 大阪の不動産鑑定士事務所|株式会社アプレイザル総研 (@appraisalsouken) July 10, 2025
◆建物の滅失の判断基準
賃貸借の家屋が滅失した場合、賃貸借契約は滅失すると解すべきである。
家屋が火災によって滅失したか否かは、主要な部分が滅失して賃貸借の趣旨が達成されないか否かによって、決めるべきであり、消失した部分の修復が通常の費用では不可能か否かも斟酌すべきである。最判昭和42.6.22— 大阪の不動産鑑定士事務所|株式会社アプレイザル総研 (@appraisalsouken) July 6, 2025
◆地中の埋設物の撤去費用
マンション建設目的に土地建物を7億円余で購入したが、購入後、土地を調査したら、地中に杭や地中埋設基礎(耐圧盤)が出て来た。買主は売主に埋設物の撤去費用の支払を求めて争いになった。東京地裁は埋設物の撤去に要した費用(約3100万円)を損害賠償額として認定した。H10.11.26判決
— 大阪の不動産鑑定士事務所|株式会社アプレイザル総研 (@appraisalsouken) May 29, 2025
◆当事者の一方が法人の場合の使用貸借の評価は…
本件土地は、借地権の取引慣行がないので借地権の評価は要しない。よって、使用貸借だと主張。
審判所は、当事者の一方が法人で一方が個人なので、税務上法人税の取り扱いになる。
よって使用貸借であっても、相続財産として借地権の評価を要することになるとした。H16.9.10裁決— 大阪の不動産鑑定士事務所|株式会社アプレイザル総研 (@appraisalsouken) June 15, 2025
◆マンションの管理規約による使用差し止め請求
マンションの一室を購入し、自分の経営する病院の幼児保育室として使用していた。
マンションの管理規約では、住居以外の目的の使用を禁止していたので、マンション管理組合は保育室としての使用差し止め請求を決議し、提訴した。横浜地裁は、使用差し止めを認めた。H6.9.9— 大阪の不動産鑑定士事務所|株式会社アプレイザル総研 (@appraisalsouken) April 9, 2025
◆相続税法7条にいう時価とは
相続税法7条の著しく低い価額は、所得税のような明確な基準(時価の1/2未満)がない
相続税法上の時価は、市場における時価で、相続税評価額で売買したら時価より低い価額になるが、著しく低い価額とはならない。
何らかの事情で相続税評価額が時価の80%以下ならば著しく低い価額となるので注意が必要!— 大阪の不動産鑑定士事務所|株式会社アプレイザル総研 (@appraisalsouken) June 20, 2023
◆法人間の土地の売買に対し、著しい価額の譲渡との税務署の指摘
法人が法人へ4万㎡の土地を14億円で売却したが安すぎると税務署から指摘を受け争いに。
税務署は38億円余が時価と主張、審判所は土地の時価を算定するに当たり近隣の土地の取引事例より38億円余と評価、売買価額との差額24億円余を寄附金とする課税をしました。安すぎるのは要注意ですね。H3.5.29裁決— 大阪の不動産鑑定士事務所|株式会社アプレイザル総研 (@appraisalsouken) December 15, 2022
◆相続人の時効取得の成立・最高裁
法定相続人が不動産を相続し10年以上経った後、他にも相続人が居るとする遺言が出てきた。
相続人は、既に時効取得が成立し、従兄弟らに遺産の返還を求める権利はないとして提訴。
最高裁は、相続回復請求権が残っている状態でも時効取得は成立するとして、従兄弟側の上告を棄却した。R6.3.19— 大阪の不動産鑑定士事務所|株式会社アプレイザル総研 (@appraisalsouken) April 23, 2024
◆相続に伴い、不動産の持分の解消
父の相続に伴い、兄弟らが大型店舗を持分所有していたが、店舗の賃借人がコロナで店舗を閉鎖。賃料が入らず、この際、不動産の持分を整理し、持分を1人に集めるため、同族間で持分価額を鑑定価額に基づき、同族間売買を行う事になった。持分所有はタイミングが大事です。
— 大阪の不動産鑑定士事務所|株式会社アプレイザル総研 (@appraisalsouken) August 3, 2023
◆借地人の増改築と契約解除について・最高裁の判断
借地人が、地主に無断で増改築をした場合でも、増改築が土地の通常の利用上相当で、地主に著しい影響を与えず、その増改築が地主に対する信頼関係を破壊する恐れがあると認める程ではない場合は、借地契約の解除は、出来ないと最高裁は、判断しています。S41.4.21
— 大阪の不動産鑑定士事務所|株式会社アプレイザル総研 (@appraisalsouken) April 9, 2024

【運営者】
株式会社アプレイザル総研
不動産鑑定士・宅地建物取引士 小林穂積
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電話:0120-987-134 北浜駅より徒歩5分
著書:土地評価の実務 part3 / 土地評価の実務 part2