同族会社間の不動産売買や同族会社と同代表間の不動産売買は、不動産の価格を恣意的に決めて取引できるので、その取引価格が妥当なものであることを税務署や役員会等に説明できるように説明書類を準備しておく必要があります。
なぜなら不動産の売買は自由に売買価格を決められるからといって、同族会社間、同族会社と同代表間の不動産の売買価格を低く設定してもいいと言うわけではないからです。
不動産の売買は税法では、「時価」を基準として課税関係が成立していますので、価格を時価より低くして取引をすれば税務上問題になる可能性があるので注意喚起をしています。
同族会社間の不動産売買とは
同族法人間の不動産売買は、価格に注意して取引する必要がありますが、同族会社とはどういうものでしょうか?
同族会社とは、経営者一族が会社の出資持分の全部またはほとんどを所有している会社のことを言います。
即ち、会社の株主の3人以下、並びにこれらと特殊な関係にある個人や法人が議決権の50%超を保有している会社を言います。
上記の「特殊な関係にある個人や法人」とは、以下の通りです。
同族会社と同族会社役員間の不動産売買も税法では時価を基準として課税関係が成立しますので、価格を時価より低い価格で取引すれば税務上問題になる可能性があります。
このような場合は、不動産鑑定による価額を規準に不動産売買をお勧めします。
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◆なぜ、同族法人間の不動産売買及び同族法人と同役員間の不動産売買は注意が必要なのか?
同族法人間の不動産売買及び同族法人と同役員間の不動産の売買価額は、税法上すべて時価を基本に課税関係が出来上がっているので、その地域の相場に相当する金額で取引するのであれば、税務上問題を生じることはありません。
しかしそれよりも低い価額で取引が行われてた場合には、税務上問題になることがあります。
又、売買価格において適正な価額よりも著しく低い価額での売買を行った場合には、取引に合理性が認められないとされる場合があります。
さらに役員が会社へ時価の1/2未満で売買を行えば、時価で譲渡したものとみなされ、所得税が課税されます。
同族会社は時価との差額が受贈益として法人税が課税されるので注意が必要です。
では、時価とは何でしょうか?
所得税法・法人税法では土地の売買については「その時における価額」としか記されておりません。よって、所得税法・法人税法上の時価は財産評価基本通達による価格ではないということが分かります。
したがって所得税法や法人税法上で不動産の時価について問題になった折には、不動産鑑定評価書による価額が適正な価額の証明の役割を果たすと考えます。
又、相続税法では財産評価基本通達より求めた価額が時価と考えられますが、財産評価基本通達が全国一律画一的な評価のため実際の取引価額と差が生じるリスクがあります。
それ以外の時価としては下記のものがあります。
公示価格・基準地価額
固定資産税評価額
路線価
取引事例(実際の売買事例)
税務署からのチェックが入りやすい
同族会社間、同族会社と同社の代表間の不動産売買は税務署からのチェックが入りやすいと言われています。
それは、同族会社間、同族会社と同社の代表間の不動産売買の価格を自由に決められる状況にあるからです。
即ち、同族会社間、同族会社と同族代表間とう関係者間なので恣意的な価額、つまり通常よりも低い価額・又は通常よりも高い価額での売買が成立し、租税回避になってしまう可能性があるからです。
税法においては「時価」を基本として課税が成立していますので、不動産取引において不動産の時価は、相場である取引価額に相当する金額で取引していれば税務上問題になることはありません。
しかし、同族会社間、同族会社と同社の代表間の不動産売買は意図的に売買価格を低くしたり、高くしたりしがちなので、税務署から「安すぎる、高すぎる」と指摘を受けやすいので注意が必要です。
不動産の同族法人・個人間の売買は税務署対策も兼ねて、不動産の鑑定士の出した価格に基づいて取引して下さいとの顧問税理士の指示で、紹介してもらった小林先生にお願いすることになりました。…詳しくはこちらをクリック>>>
◆時価鑑定をしなかった場合に考えられること
同族会社間、同族会社と同社の代表間の不動産売買において、取引価格を売主買主の意向のみで価格を決め、時価鑑定をしなかった場合、どのようなことが考えられるでしょうか?
税務署から不動産の売買価格が低すぎるのではないですかとか、高すぎるのではないですかという問いかけがあった場合には、その取引価格の妥当性の説明責任は同族会社及び同社の代表となります。
価格の妥当性を説明できず、税務署が取引価格に納得しなければ、時価との差額について当事者に課税される場合があります。詳細は売主側・買主側(法人税・所得税)を参照ください。
同族会社の社員から取引価格が低すぎたとか、高すぎたという意見が出て、後々の争いの原因となることも少なくありません。社内にも説得力のある説明資料を作製しておく事が大切かと思います。
売主側・買主側(法人税・所得税)
税法においては、不動産の時価を基本として課税が成立しています。
◆リスク回避には不動産鑑定を利用しましょう
不動産鑑定士による不動産鑑定評価書は、不動産鑑定評価基準等に基づき求められた鑑定評価額即ち、適正な時価が記載されています。
不動産の売買等に不動産鑑定を活用しない場合には、下記のようなリスクがあります。
不動産鑑定書の活用の仕方・その効力
法人が絡む不動産の売買等は、税法では全て時価を基本として、課税関係が出来上がっていますので、同族法人間、同族法人と同代表間の不動産売買等は適正な時価で取引すべきかと思います。
適正な時価を把握するには、不動産鑑定書を活用することをお勧めします。不動産鑑定士による不動産鑑定書は価格の妥当性を説明する証明能力有し、以下のような活用の仕方があります。
不動産の売買等の価格の説明・根拠資料として
担保評価のための資料として
訴訟における説明資料として
会社合併(M&A)に伴う説明資料として
事業承継に伴う不動産の価格の説明・根拠資料として
法人の株価算定のための基礎資料として
現物出資のための基礎資料として
地代・家賃の交渉・訴訟のための説明資料として
固定資産(不動産)の交換のための基礎資料として
課税上の不服申し立てや訴訟の基礎資料として
会社分割のための説明資料として
賃貸等不動産の時価等の開示のための資料として
減損会計にかかる資料として
適正な不動産の時価であることを証明する手段として、例え費用が発生したとしても、不動産鑑定評価書を活用する事で、安心して不動産の取引が可能です。不動産鑑定評価書を十分に活用されることをお勧めします。
同族会社間、同族会社と同法人代表間の不動産売買はアプレイザル総研で不動産鑑定を!!
法人が、法人所有の不動産を譲渡する等の場合は、不動産の価額は適正な時価で動かす必要があります。
国家資格である不動産鑑定士が在籍する株式会社アプレイザル総研は、同族会社間、同族会社と同法人代表者間の不動産鑑定のご依頼を多数お受けしている実績があります。
取引する不動産の価格が適正な価格である事を説明するにあたり、不動産鑑定は、不動産の価格が適正な時価を表わしていることを説明する資料としてお役に立ちます。
【運営者】不動産鑑定士・宅地建物取引士 小林穂積
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著書:広大地評価の重要裁決事例集(プログレス刊)
広大地評価判定の実務(ファーストプレス刊)