路線価 下方修正に

1. 路線価 下方修正  閑散ミナミ地価に波及 宿泊施設の廃業3倍!!

国税庁は1月26日、大阪市中央区の繁華街、ミナミの3地点で相続税の算定に使う路線価の4%減額補正(下方修正)を発表した。インバウンド(訪日外国人)需要を背景に伸びてきた地価が、新型コロナウイルス禍に伴う店舗の閉店や撤退などで大幅に下落したのが要因だ。

大阪市で2020年に廃業が確認されたホテルなどは前年の約3倍に上る。にぎわいを取り戻すにはコロナの収束に加え、25年国際博覧会(大阪・関西万博)などに向けた都市開発もカギを握りそうだ。

減額補正の対象は心斎橋筋2丁目、宗右衛門町、道頓堀1丁目の3地点20年1月時点で2152万~1865万円だった路線価(最高地点)が2065万~1790万円に修正された。大規模災害を除いて景気変動に伴う減額は初めてだ。これらの地点は16年1月時点に比べて路線価が約3倍にはね上がり、府内の最高値が続く梅田とほぼ同水準に上昇していた。

1年ほど前まではインバウンドらで混雑したミナミの商店街。

1月下旬、買い物袋を抱えた外国人の姿はなくシャッターを下ろした店舗も目立つ。大阪市によると、ミナミを含む中央区の飲食店の廃業届は20年が764件と前年に比べ24%増えた。ミナミの一等地では貸店舗の空室率が上昇し、東京の銀座などに比べても高い

海外からの観光客などに支えられてきた宿泊施設も大阪市内で廃業が増え、地価の下押し要因となった。市によると、20年に廃業を確認した市内のホテルや旅館などの施設は115施設で、19年の40施設に比べ3倍近い。

マンションなどへの投資意欲も低迷。大阪市は国家戦略特区法に基づく「特区民泊」が全国最多の約9割を占めていた。市によると、20年4月末に1万1446室あった特区民泊はコロナ禍で減少に転じ、12月末時点で9557室とピークから16.5%減った。大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)は民泊事業への参入を目的にミナミ周辺で購入したマンションを昨年末に売却した。市の担当者は「年明けも民泊廃止の動きは続いている」と話す。

国税庁によると、路線価は地価の8割程度に設定される。減額補正は地価が20%下がったかどうかが目安になる。今回のミナミの3地点は20年1~9月に地価が23%下落したが、このほか大阪の9地点でも地価が17~19%下落し、同庁は4月ごろに追加の減額補正を公表する見通しだ。大阪市では中央区の千日前1・2丁目、道頓堀2丁目、難波1・3丁目、難波千日前、日本橋1・2丁目、南船場3丁目が対象になる可能性があるという

(日本経済新聞2021.1.27)

2. 土地登記 相続3年内に違反なら過料 法制審議会答申!!

不動産登記権利情報等のイメージ画像法制審議会(法相の諮問機関)は2月10日、相続や住所・氏名を変更した時に土地の登記を義務付ける法改正案を答申した。相続から3年以内に申請しなければ10万円以下の過料を科す。所有者に連絡がつかない所有者不明土地は全体の2割程度に達し、土地の有効活用の弊害になっている

法制審の総会で民法や不動産登記法などの改正案の要綱を示した。政府は3月に改正案を閣議決定する。今国会で成立させ、2023年度にも施行する。

いまは相続が発生しても登記は義務ではない。申請しなくても罰則はない。土地の価値が低かったり、手続きが面倒と感じたりした場合は放置する例がある。死亡者の名義のまま年月を経れば、所有権の把握は難しくなる

法務省によると所有者不明土地が発生する理由の66%は相続登記がないことで、34%が住所変更の不備だという。

改正案では取得を知ってから3年以内に登記を申請しなければ10万円以下の過料を科す。住所変更や結婚などで氏名が変わった場合も、2年以内に申請しなければ5万円以下の過料になる。法人が本社の登記変更を届け出ない場合も過料の対象になる

登記手続きの負担は減らす。相続人のうち1人の申し出で登記ができる。10年間、届け出がなければ行政が法律で定める割合で遺産を配分する「法定相続」にする。

行政が住民基本台帳ネットワークで死亡者を把握し、登記に反映する仕組みもつくる。死亡者が名義人だった不動産の一覧情報を発行して親族が簡単に把握できるようにする。土地やビルなどの建物の共有者が不明でも改修や売却をしやすくする。

裁判所の確認を経て公告し、他の共有者の同意で利用目的を変更できる。短期間の賃貸借は共有者の過半数で決められる。

裁判所が管理人を選べば、不明の所有者に代わって土地や建物の売却もできる。代金は所有者が判明した場合に備えて供託する。商業地などでは共有者が分からず、有効利用ができない不動産も多い。制度が広がれば都市開発が進む可能性がある

(日本経済新聞2020.2.11)

3. 不動産向け融資 コロナ下で伸びる 資金確保の動き、残高最高!!

「BANK」と書かれた画像銀行による不動産業向け融資が再び加速し始めた。新型コロナウイルス禍を受けた資金繰り悪化に備える不動産事業者の需要に銀行が応じているためだ。家賃などを補助する政府の支援策が銀行に安心感を与えている。ただ賃料低下が続くと資金不足に陥る事業者が2倍に急増するとの試算もある。貸し倒れなどの潜在的なリスクに警戒が強まる

日銀が2月10日発表した統計によると、銀行の不動産業向け融資残高は20年12月末に前年同月比3.6%増の約84兆円。15年から連続して過去最高を更新した。1回目の緊急事態宣言の直後にあたる20年6月末に4.2%増と1年3カ月ぶりの高い伸び率になり、その後もコロナ前を上回る水準で推移する

08年の世界金融危機時には収益が悪化した銀行が融資に慎重になり、不動産の取引事業者が相次ぎ破綻。中小事業者が資金確保のため、物件を投げ売りする事態が起きた。

足元の不動産市況は当時とは異なる。実質国内総生産(GDP)が20年4~6月期に戦後最悪のマイナス成長に陥り、その後の景気持ち直しも鈍いが、賃料などは大きくは崩れなかった。政府と地方自治体が企業の経営や家賃支払いを給付金で支えているため、不動産業に融資する銀行にも安心感を与えている。

それでも先行き不透明感は強い。新型コロナが感染拡大を続け、不動産賃料全体の2割弱を占めるホテルや店舗の経営に打撃を与え続けている。政府の観光需要喚起策の一時停止や緊急事態宣言の再発令により、サービス業を中心に売り上げがさらに落ち込む懸念が強まっている。

20年春以降、不動産事業者が受け取るホテルの賃料収入は1割超減少した。日銀内では「賃料の動向を注視する必要がある」と警戒感が広がる

日銀は賃料低下による不動産賃貸業への影響を試算した。売上高が25%下がると、短期資金が不足する事業者は足元の2倍に急増し、全体の1割弱に達するという。

オフィスビル仲介大手の三鬼商事(東京・中央)が2月10日発表した1月の空室率は、千代田区や渋谷区など東京都心5区で11カ月連続で上昇した。在宅勤務が広がり、都心のオフィスを縮小する動きが出始めたことも影響したようだ。みずほ総合研究所の宮嶋貴之・主任エコノミストは「在宅勤務の拡大は不動産業の競争環境を変える。物件の選別が厳しくなる」と影響の大きさを指摘する。

在宅勤務なら大都市に住む必要は薄れる。東京の不動産賃料や地価上昇を支えてきた人口流入にも変化が起きている。総務省によると、20年12月の東京都からの転出(日本人の移動)は約2万7千人で、転入の約2万2千人を上回った。離れる人の方が多い転出超過は6カ月連続だ

(日本経済新聞2021.2.11)

 

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著書:土地評価の実務 /  広大地評価の重要裁決事例集 / 広大地評価判定の実務

 

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