1.公示地価、ミナミ地点20%超下落 訪日客需要が消滅 北はオフィスが下支え!!
2021年の公示地価(1月1日時点)で、大阪府の商業地は2.1%下落し、下げ幅は全国で最も大きかった。20年は7.7%上昇と高い伸びを示したが、新型コロナウイルス禍でインバウンド(訪日外国人)観光客が消滅、一転して8年ぶりの下落となった。京都府、奈良県の下落率も1.8%と高い。地点別では、大阪・道頓堀の老舗フグ料理店「づぼらや」跡地が28.0%下落し、全国の商業地の下落率トップとなった。
全国の商業地の下落率トップ10地点のうち関西が9地点を占めた。このうち全国で5地点しかない20%超の下落となった地点は大阪・ミナミに集中する。
26.5%下落した住友商事心斎橋ビルは、訪日客ブームに沸いた18年にキタを抜いて関西で最高地点となった。ところが訪日需要の消滅で周辺の路面店からドラッグストアが相次ぎ撤退。家賃を下げても後継テナントが決まらない状況で土地取引も低迷し、公示地価の大幅下落を招いた。ただ、近接地では譲渡額は非公表ながら大型の土地取引が成立しており、実勢価格は公示地価を上回っていると見られる。
一方、大阪・キタではJR大阪駅北側の大型商業施設「グランフロント大阪南館」が4年ぶりに関西の商業地の最高価格に返り咲いた。
オフィス需要が訪日客消滅の影響を緩和し下落率が8.4%にとどまったためだ。ただ、コロナ禍による業績悪化や在宅勤務の普及を受けたオフィス縮小の動きはこれから本格化するもようだ。飲食店向け人材サービス
のクックビズがキタのオフィスビルに入居する大阪本社を縮小し、採用サービスのネットオン(大阪市)も近隣に本社を移転し床面積を2割ほど削減した。
大阪都心部がコロナ禍で打撃を受ける中、関西の商業地の上昇率上位には、住環境のよい郊外が目立った。前年比8.2%の上昇で関西トップとなった大阪府箕面市船場東は、北大阪急行線の延伸による都心部への利便性向上や大阪大学の新キャンパス開設による人口増を見込んだ商業施設などの需要が高まった。
住宅地トップは隣接する同市船場西(4.5%上昇)で、上位の大阪府高槻市や兵庫県芦屋市、川西市とともにJRや阪急などの駅に近く、ベッドタウンとして評判が高い地点だ。
大阪都心部ではオフィス縮小による空室率の上昇が地価の軟化要因となるものの、中長期の視点から商業施設やオフィスビルの選別を進める国内外の投資家にすれば、優良物件が購入しやすくなる。こうした物件の取引価格は高水準を維持するとみられ、取引が増えれば地価の下支えとなる。今回の公示地価の下落幅は20年の基準地価(7月1日時点)よりも小幅になっており、地価は当面は緩やかに下落しつつも、コロナ後の反転攻勢の時期を探る展開となりそうだ。
(日本経済新聞2021.3.24)
2.十三駅、若返りへ再開発始動 タワマン核に 図書館や保育所、ファミリー層誘致!!
大阪市淀川区の阪急電鉄十三駅近くで高層マンションや図書館など複合施設の開発が本格的に始まった。阪急阪神不動産と高松建設が駅東側の土地に建設する。
十三はまとまった土地の確保が難しく開発が進まなかった。歓楽街のイメージが強いが、保育所も整備して若い家族層を呼び込む。鉄道新線の構想もあり、今後再開発に弾みがつきそうだ。
阪急阪神不動産などは20年10月下旬に大阪市と基本協定を結んだ。09年に移転した淀川区役所の跡地など7800平方㍍を再開発する。22年12月に着工し、マンションや図書館などが入る40階建ての複合ビル、7階建ての医療系専門学校を建設する。
マンションは660戸で間取りは3LDKなどファミリータイプが中心だ。60年間の定期借地権付きの物件で土地を取得する必要がない分、マンション価格を下げられる見通しだ。複合ビルにはスーパーや保育所も入る。街開きは新型コロナウイルスの感染拡大の影響で当初の計画より1年遅い26年6月になる予定だ。
十三駅は阪急の京都、神戸、宝塚の3路線が結節する。梅田へのアクセスが良くマンション需要が見込める。
十三では、阪急が「なにわ筋連絡線」など2路線の事業化を検討している。国土交通省が18年に発表した調査によると、なにわ筋連絡線の利用者は最大で1日13万1000人だ。阪急阪神不動産住宅事業本部の古橋俊一郎氏は「十三駅の利便性が高まり、マンションやオフィスの開発に動く企業も出るだろう」と話す。阪急グループも周辺に土地を多く保有し、再開発の機運が高まりそうだ。
(日本経済新聞2021.2.23)
3. 神戸市、空き家に新対策 弁護士派遣の費用負担、地域の協力隊活用促す!!
神戸市が空き家対策に相次いで新施策を打ち出している。空き家所有者らの相談に乗ったり利害調整を促したりする弁護士の派遣制度を4月にも始める。所有者らに空き家の再活用を促す「協力隊」も導入した。スタートアップと連携した解体支援も今春から開始する。空き家の利活用や撤去を進め、街全体の活力を維持する。
神戸市が4月にも始めるのが、空き家所有者らに問題点や解決策を伝える弁護士費用を市が負担する制度だ。相続人が多数にわたり活用や撤去の対応を取る意思がみられないなどの問題がある空き家の一部に対し、弁護士を派遣する。
老朽化した空き家が放置されたままだと周囲に危険が及ぶこともある。弁護士は周辺住民に影響が出た場合の賠償リスクなどを伝えるほか、市が用意している解体補助制度も知らせるなどして、問題の早期解決へとつなげてもらう。弁護士に支払う費用は1件あたり最大25万円。
市内のある物件は相続関係者が明治時代までに遡り、約50人にもわたる例があった。「このまま放置したら相続人が増え、さらに解決が難しくなることを伝える」(市空家空地指導係)。2021年度は10物件に対して10人の弁護士を派遣する計画だ。
地域密着型で空き家の利活用も促す。1月に創設したのが「空き家おこし協力隊」だ。街づくり団体や古民家再生で実績のある団体などに、活用が見込める空き家などの掘り起こしを委託する。所有者の相談相手となり、不動産会社へ橋渡しをするなどして賃貸や売却への道筋をつける。
同市企画調整局つなぐラボの担当者は「不動産会社が『空き家を活用しませんか』と営業するより、地域から信頼を得ている団体からであれば効果があるのでは」とみる。これまでに8団体に委託。売買・賃貸などの利活用が決まった場合、報酬として10万円を支給。活動費として1カ月あたり1万円も支給する。
空き家の解体も後押しする。市は解体工事サポートを手掛けるクラッソーネ(名古屋市)と連携。4月をメドにネットで完結できる仲介の仕組みを提供する。
(日本経済新聞2020.3.16)
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不動産鑑定士・宅地建物取引士 小林穂積
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