1. 基準地価「地価変動」映す 全国平均、2年連続下落!!

国土交通省が9月21日発表した2021年の基準地価は住宅地や商業地など全用途の全国平均が前年比0.4%下がり、2年連続の下落となった。際立ったのが2年目の新型コロナウイルス禍の下で進む地価の「地殻変動」だ。全国的に下落する中で上昇した地点に目を向けると、海外の緩和マネー流入や在宅勤務による住環境の再評価というけん引力が浮かび上がる。

7月1日時点の地価動向を調べた。商業地は前年比0.1%上昇とプラスを維持した東京圏と、0.6%下落と9年ぶりにマイナスに転じた大阪圏で明暗が分かれた。背景にあるのが、世界各国・地域のコロナ対応で世界中にあふれた金融緩和マネーだ。

「対象となる物件が出てくればすぐ買い手が付く状況だ」(不動産サービス大手のジョーンズラングラサールのシニアディレクター)。海外投資家はコロナ禍で業績悪化した企業が売却する都心の優良物件に狙いを定める。9月には旅行需要が低迷するJTBが都内の本社ビルなどを売却したことが分かった。買い手は外資系投資ファンドとみられる。

商業地で全国最大の落ち込みをみせた大阪の繁華街・ミナミの商業施設「デカ戎橋ビル」。18.5%下落した同ビル周辺はコロナ禍前は買い物する中国人観光客らでごった返していたが、今は休業中の張り紙やシャッターを閉じた店が目立つ。

地価回復には25年国際博覧会(大阪・関西万博)などをテコにした都市の魅力強化が欠かせない。

住宅地の上昇地点をみると、在宅勤務や外出自粛による住環境の再評価が暮らしやすさなどで勝るエリアや物件の地価を支える。都内でも民間の「住みたい街」ランキングで人気の吉祥寺がある武蔵野市は1.5%上昇した。

三井住友トラスト基礎研究所の坂本雅昭氏は在宅勤務で「仕事用のスペースを確保するため広い住居を求める人が増えた」と語る

(日本経済新聞2021.9.22)

2. 21年基準地価、大阪で市況悪化!!

新型コロナウイルス感染拡大の影響で地価下落が続いている。国土交通省がまとめた2021年の地価調査(基準地価、71日現在)によると、全国の全用途平均が2年連続で下落した。コロナ禍の打撃が大きい商業地は全国で55%にあたる2846地点で下落。飲食店やホテル需要の減退が続き、大阪圏などを中心に下落が目立った。住宅地は下落率が縮小した
大阪圏の商業地は前年の1.2%上昇から0.6%下落に転じた。コロナ禍による経済低迷や、関西を支えてきたインバウンド需要の消失が打撃となった。

大阪市の商業地は2.0%下落(前年は2.6%上昇)。梅田地区は休業要請や人流減少などで店舗・ホテルの収益性が低下、心斎橋・なんば地区はコロナ禍による国内外の観光客減少が響いた。

京都市は0.4%下落(同1.4%上昇)。観光地周辺での店舗需要や宿泊施設需要が地価上昇をけん引していた伏見区や東山区などの下落率が大きい。神戸市も1.1%下落(同1.3%上昇)となった。三宮センター街では規模の大きな店舗の需要減退が顕著だという。

大阪圏の最高価格地点は、JR大阪駅北側のグランフロント大阪南館。前年から4.7%下がり、8.8%上昇だった前年に比べて市況は悪化した。飲食店などが集まる大阪・ミナミの商業施設、デカ戎橋ビルは18.5%下落と全国でも最大の落ち込みとなった

大阪圏の住宅地は0.3%下落だが、下げ幅はわずかに縮小した。大阪市が0.2%上昇する一方、南河内地域は1.0%下落した。大阪―神戸間の西宮市、尼崎市は上昇に転じた。                  

(日本経済新聞2021.9.22)

3. アパート融資 底打ち気配 銀行新規貸出4年ぶり増(4~6月)!!

2018年以降の不適切融資問題を受けて減少が続いていた投資用不動産ローン(アパート融資)に、底打ちの兆しが出ている。21年4~6月期の銀行による新規貸出額は4年ぶりに前年同期比で増加に転じた。個人の資産形成への関心が高まり、地方銀行を中心に融資を拡大する動きが広がっている。新型コロナウイルス下で、不動産に代わる収益源の開拓が難しくなっているという金融機関側の事情も透ける
日銀によると、銀行による21年4~6月期の「個人による貸家業」への新規貸出額は約5500億円と2割増えた。前年同期比プラスは17年1~3月期以来だ20年4~6月期は1回目の緊急事態宣言で取引が大きく減り、今年はその反動が出た面もある。もっとも、より長期の変化を示す4四半期移動平均も4年ぶりに前四半期比プラスとなり、底打ち感が出ている。

日銀や金融庁が16~17年、リポートなどで地銀の不動産融資の増加を指摘し始めると、各行は融資審査を厳しくした。翌18年にスルガ銀がシェアハウス物件に関する不適切融資で業務改善命令を受けると、各行が一斉に融資を絞った。

ここに来て増加に転じたのは、新型コロナ感染拡大をきっかけに個人の資産運用への関心が高まったことがある不動産投資家の社会人サークルで代表を務める依田泰典氏は「将来への不安に加え、在宅勤務で時間に余裕もできたことから、不動産投資を始めたいという人からの相談が増えている」と話す。

貸出額が増えたのは、不動産の購入検討者が増えた影響が大きく、今のところ融資基準を緩める動きは限定的のようだスルガ銀は事件を受け、新規の取引先を一定の資産規模を持つ富裕層に絞り、契約時に営業担当者が2人以上で対応して互いにチェックするといった再発防止策もとる。一部の銀行が融資を拡大し始めた半面、投資用不動産ローンから撤退する金融機関もあり「今後は銀行における融資姿勢の二極化が進む」(不動産投資家の玉川陽介氏)との見方がある。

地銀が不動産の他に有力な貸出先を見つけられないという事情も透ける。不動産ローンでは担保をとれるうえ、1件あたりの融資額も大きい。オフィスビルや商業施設は新型コロナで空室が増えたものの、投資用として一般的な住宅の需要は底堅く、価格は上昇が続く

(日本経済新聞2021.9.3)

 

 

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著書:土地評価の実務 /  広大地評価の重要裁決事例集 / 広大地評価判定の実務

 

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