1. マンション建て替えやすく 老朽物件に歯止め、政府検討!!
政府は分譲マンションの建て替え条件を緩和する検討に入る。所有者の賛同割合の引き下げなどを柱に区分所有法の改正をめざす。建て替えやすくして老朽化マンションの増加に歯止めをかける。2022年度にも法制審議会(法相の諮問機関)に諮問する。
建て替えに必要な賛同を現在の「5分の4」から、共用部の変更や管理組合法人の解散などを決める場合と同じ「4分の3」かそれ以下に引き下げる内容を軸とする。
相続などを経て連絡がつかなくなった「所有者不明」の区分所有者は一定の条件下で意思決定から除外する案も議論する。
分譲マンションは一般に区分所有する所有者らでつくる管理組合で建て替えなどの重要事項を決議する。同じ土地で建て替える場合、区分所有法に基づき所有者の5分の4の賛同が必要になる。
不明な所有者がいると意思決定に必要な条件を満たしにくくなり管理に支障が生じる。
建て替えのほかにマンションの敷地を一括して不動産会社などに売却して代金を分け合う「敷地売却」という選択肢もある。この場合は原則、所有者全員の同意が必要だ。1戸でも所有者が不明だとマンションの再開発が事実上不可能になる。
国土交通省の推計によると20年末時点のマンション675万戸のうち築40年を超える物件は103万戸ある。これが40年に405万戸まで膨らむ見通しだ。103万戸の4分の1ほどが都内に集中しているとみられる。
日本は人口減少局面にあるものの都内などへの人口流入は当面続くとの見方は多い。そのため東京カンテイ(東京・品川)の井出武上席主任研究員は「都心部にある物件の相当数で建て替え需要がある」と分析する。
(日本経済新聞2021.12.10)
2.中古住宅、データは伏魔殿 不動産ID骨抜き 取引改革に既得権の壁!!
中古住宅の売買取引を透明化する官民プロジェクトが10年以上も迷走している。不動産業界がオープンな情報システムによって既得権を脅かされると警戒しているからだ。建物や土地を登記簿の番号で管理する「不動産ID」の構想も骨抜きの様相。閉鎖的な「伏魔殿」は改革されず、DX(デジタルトランスフォーメーション)の機会損失はふくらむ。
国土交通省が9月に立ち上げた不動産IDの官民検討会。初回会合の資料には「各情報保有主体・活用主体がどのように情報を連携させるかについては、各主体の発意・主体間の交渉に委ねる」と記されていた。回りくどい霞が関文学を要約すると、「不動産IDをつくっても、その先の個々のデータ連携にまで国は口を出さない」ということだ。
一方、日本のレインズはどうか。建設省OBで不動産流通に詳しい中川雅之・日大教授は「データの量や質が不十分だ」と指摘する。売主と一対一の専任契約をした不動産会社は5~7日以内にレインズに物件情報を登録する義務があるが、違反が少なくない。自社で買主も見つけ、売主と買主それぞれから仲介手数料が取れる「両手取引」につなげたいからだ。
両手取引は不動産会社の実入りが大きいが、高く売りたい売主と安く買いたい買主との利益相反がかねて指摘されてきた。09年に当時の民主党政権が政策集で原則禁止を打ち出したものの、業界の猛反発で撤回した。レインズに登録しても他社から物件内覧の依頼があると「先客と商談中」と噓をついて断る囲い込み行為は絶えず、ルール違反の処分も甘い。
レインズは国が指定する東日本不動産流通機構など4つの公益法人が運営し、費用は全日本不動産協会など業界団体が負担する。アクセスできるのは原則、加盟会社だけだ。物件査定などで革新的ビジネスを模索する不動産テック企業などには門戸を閉ざしている。
都内の仲介会社社長は「新規参入企業や一般消費者が得るデータが増えれば、既得権が脅かされる」と本音を語る。不動産IDによって、これまで1日がかりで行政窓口を回っていた情報収集がシステム上で完結するならメリットは大きい。しかし、それが異業種も交えたデータ連携に発展して情報がガラス張りになるのは避けたいという防衛本能が働く。
(日本経済新聞2021.11.26)
3. 固定資産税、商業地、税額上昇幅半分に!!
固定資産税の負担軽減措置は商業地に限って2022年度も継続することが決まった。
新型コロナウイルス禍の対策として21年度に限り、地価が上昇しても20年度と同じ税額に据え置く特例措置をとっていた。住宅地向けは予定通り21年度で終了し、商業地に関しては税額の据え置きはやめ、地価上昇に伴う税額の上昇幅を通常の半分に抑える。
本来ならば地価が上がると土地評価額の5%分が上乗せされる。それを今回は2.5%にする。激変緩和策として位置づけ、1年限りの措置とする。
政府・与党はコロナ禍からの経済回復はまだ途上と判断した。新たな変異型「オミクロン型」の感染拡大懸念が世界で広がり、国内景気を下押しすることへの危機感が増したことも判断の背景にある。
今回の税制改正の議論を通じ、自民、公明両党で最後まで調整が続いた項目だった。
自民党は固定資産税は地方自治体にとっての主要財源であることから、財政事情に配慮し特例を終わらせるべきだと主張した。全国市長会や全国町村会などが要望し、宮沢洋一税制調査会長も打撃を受けた事業者への対応は「税ではなく財政で」と繰り返した。
公明党は負担軽減策を続けるよう求めた。コロナの影響から立ち直っていない事業者も多く、予定通りに特例を終了すべきでないとの主張だった。総務省は公明党の会合で、特例を終わらせた場合、最大1100億円ほどの負担増になると説明。自公両党の税制調査会長が協議を重ね、双方の主張を尊重した中間的な案で折り合った。
固定資産税は市町村(東京23区は都)が課す地方税で、土地や建物にかかる。税額は時価にあたる評価額を負担調整した「課税標準額」に原則1.4%の税率をかけて決まる。
評価額は3年に1度見直すことになっている。21年度は更新の年だったがコロナの影響で個人や事業者の支払い能力が落ちていることを踏まえて、20年度と同額に据え置く特例を導入した。コロナの感染拡大前は全国的に地価が上昇していたことも考慮した。
(日本経済新聞2021.12.11)
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株式会社アプレイザル総研
不動産鑑定士・宅地建物取引士 小林穂積
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著書:土地評価の実務 / 広大地評価の重要裁決事例集 / 広大地評価判定の実務