1.路線価、観光地で明暗 京都回復 ミナミ下落率最大!!
国税庁が7月1日に発表した路線価では、京都の観光地が、国内観光客の回復などを背景にコロナ禍前の水準にほぼ戻った。一方、インバウンド(訪日客)に依拠してきた大阪・ミナミは下落率が国内最大の10.6%となり、関西の観光地では明暗が分かれた格好だ。
京都市下京区の四条通の路線価は1平方があたり673万円で3.1%上昇。中京区の河原町通は648万円で3%上がり、コロナ禍前とほぼ同水準になった。
同市観光協会によると、主要ホテルの客室稼働率は昨年4月は21%だったが、今年は47.1%に上がっており、不動産鑑定士の村山さんは「京都では国内観光客の回復に加え、『アフターコロナ』を見据えた国内外からの投資の関心も高まっている」と話す。
一方、大阪・ミナミは、訪日客に沸いた約2年前までのにぎわいはなく、シャッターが閉まった店も多い。不動産サービス会社「シービーアールイー(CBRE)」の調査では、ミナミにある心斎橋の店舗空室率(今年1~3月)は14.5%で、東京の銀座4.5%や、福岡の天神5.6%を大幅に上回っている。
大阪国税局や不動産鑑定士によると、大阪市内はコロナ禍の人流抑制で都市部の下落が継続する一方、利便性に優れる住宅地や万博開催で機運が高まるベイエリアなどが上昇した。大阪公立大の新キャンパスが25年度に開設予定の城東区森之宮周辺も整備事業の期待感からプラスとなる。横ばいだったのは、枚方市や岸和田市など15地点だった。
関西大手の不動産会社は「利便性の高い駅近くのタワーマンションが完売するなど、住宅需要は高まっている。コロナの影響はなくなりつつある」としている。 (読売新聞2022.7.2)
2.REIT運用に業務停止命令不動産市況、悪化の兆しか!!
金融庁が中部電力系の不動産投資信託(REIT)運用会社、エスコンアセットマネジメント(東京・港)に対して3カ月間の業務停止命令を出した。親会社の持つ不動産をREITに高値で買わせようとしたためで、投資家の不利益につながりやすいREITの問題が浮き彫りになった。REIT運用会社への業務停止命令は15年ぶりで、不動産の悪化を示すサインとの見方も出ている。
REIT運用会社への行政処分は2008年以来14年ぶり。重い処分である業務停止命令は07年のダヴィンチ・セレクト以来、15年ぶりとなる。不動産業界では今回の事件は市況が曲がり角を迎えたサインだと警戒する声も上がる。13年に日銀が異次元緩和に踏み切って以降、不動産市場には投資マネーが活発に流れ込んできた。不動産会社が系列のREITに物件を売却する際、運用会社はREIT投資家の利益を守るためのルールとして外部の鑑定会社の評価を得て、取引価格の上限を設定する。
相場全体が上向いていれば鑑定評価額は伸びやすく、REIT運用会社が鑑定会社に働きかける必要はない。ルールを破る運用会社が出てきたのは、鑑定評価額が伸びなくなってきたことの表れといえる。REITに資金が集まらず、購買力が下がっている側面もある。不動産証券化協会によると、21年の上場REITの増資・売り出し総額は約4800億円で、直近ピークの18年(約7200億円)から3割強減った。
REITによる購入減が不動産価格の下落に直結するわけではない。不動産の買い手は国内外の私募ファンドや不動産会社、保険会社や年金基金など他にもたくさんいて、低金利下でまだまだ不動産市況の「終わりの投資機会を探っているためだ。特に最近では円安を追い風に、外資系ファンドの購入意欲が一段と増している。
もっとも「市況が過熱する中で今回のような事件が起きると、ジンクスのようで不安に感じる」(大手銀行幹部)。今回の事件がエスコンアセット1社にとどまるのか、それとも不動産市況の「終わりの始まり」なのか、不動産関係者は気をもんでいる。(日本経済新聞2022.7.20.)
3.日本の不動産アジア勢の投資活況今年、3年ぶりの高水準か!!
アジア勢が対日不動産投資の意欲を高めている。シンガポールの政府系ファンドなどがホテルや集合住宅を相次いで取得しており、2022年の投資額は3年ぶりの高水準となる可能性がある。歴史的な円安が背景で、日本の不動産投資信託(REIT)市場にも資金が流れ込んでいる。
シンガポールの投資ファンド、QIPは6月初旬に日本の大都市のマンションを投資対象としたファンドを組成し、第1弾として大阪と名古屋の3物件の取得を発表した。取得総額は4千万ドル(約54億円)で、首都圏なども含め追加投資の機会を探る。ピーター・ヤング最高経営責任者(CEO)は「ちょうど良いタイミングで円安になった」と手応えを口にする。
シンガポール勢では2月にGICが西武ホールディングス(HD)のホテル・レジャー31施設を約1500億円で、3月には大手上場ファンドのアスコット・レジデンス・トラストが大阪や福岡の賃貸住宅・学生寮を約100億円で取得すると発表した。
円はシンガポールドルに対して6月に1985年以来3年ぶりの安値をつける場面があり、タイバーツに対しても約2年ぶり安値圏で推移する。アジアの投資家は自国通貨や米ドルで資金を調達することが多いため、足元の歴史的な円安が、日本への投資拡大を後押ししている。
アジアなどの海外勢は日本のREITにも資金を振り向けている。東京割券取引所によると、海外勢の1~5月の買越額は約900億円。米REITに投資するETFから1~6月に12億ドル近い資金が流出したのと対照的だ。(日本経済新聞2022.7.12)
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株式会社アプレイザル総研
不動産鑑定士・宅地建物取引士 小林穂積
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著書:土地評価の実務 / 広大地評価の重要裁決事例集 / 広大地評価判定の実務