1.借地借家法に定める土地の賃貸借は4種類
今から建物の所有を目的に土地を貸す場合に適用される借地借家法の借地権は下記の4種類です。
(1)普通借地契約に基づく普通借地権(借地借家法第3条)
(2)定期借地契約基づく借地権
(ⅰ)一般定期借地権(借地借家法第22条)
(ⅱ)事業用定期借地権(同上第23条)
(ⅲ)建物譲渡特約付借地権(同上24条)
2.普通借地契約か定期借地契約かの選択
土地を貸す場合、ほぼ長期間土地を貸すことになるので、どのような種類の借地契約を結ぶか選択する必要があります。ざくっとした言い方になりますが、下記の2種類の分け方があります。
土地を手放してもいい場合→普通借地権
土地を取られたくない場合→定期借地権等
何故ならば、普通借地契約を結べば、地主は立退きに対する正当事由がなければ借地契約を解約できません。又、正当事由が弱ければ立退料を支払って立ち退きをしてもらうことになるからです。
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3.借地契約書を締結する
借地契約は長期に及ぶので、トラブル防止を兼ねて契約書を作成すべきかと思います。
口頭契約はトラブルの元です。できれば公正証書がいいですね。
4.借地契約書に特約を明記する
土地は建物所有を目的に土地を貸すとなると長期に及び借地人とのトラブルが多くなってきます。したがって借地契約書に特約を明記することをお勧めします。
無断増改築防止対策とトラブル防止効果
借地上の建物の無断増改築を防ぐために建物の増改築をする場合は、地主の許可が必要という特約を付ける事です。
無断で増改築をした場合は地主は契約解除できると考えられるのが原則です。
しかし、すぐに契約解除をすることは現実的には難しく、借地人との信頼関係を破ったか否かが契約解除できるボーダーラインになるようです。
でも借地契約書に無断増改築禁止の特約及び増改築する場合には、増改築承諾料が必要の旨を記載することはトラブルを未然に防ぐ効果がありますので是非とも記載しましょう。
契約解除時に土地の返還について取り決めを明記する
借地契約を解除する場合に借地上の建物の処理をどうするか決めておくことは、土地を貸す場合にトラブル防止に繋がります。
5.土地の新規地代の決め方
地代を決める土地の要件
したがって同一地域内でも道路幅員等により地代に差が出る場合があります。
新規地代の決め方
路線価を基準とする方法
積算法
賃貸事例比較法
収益分析法
以下、詳細に検討していきます。
公租公課を基準とする方法
新規地代を決めるにあたり、公租公課の〇倍として決める方法がありますが、あまり当てになりません。上記地代を決める土地の要件を十分に反映していないケースが殆どだと思います。一つの指標としてみて頂ければと思います。地代の正確なものは不動産鑑定をすべきかと思います。
しかし規模の小さい物件の場合、鑑定料との相乗効果も考える必要があろうかと思います。
路線価を基準とする方法
新規地代を決めるにあたり、路線価の〇倍として決める方法です。これもあまり当てにならないですね。物件の位置とか面積の規模とか、どのような用途がいいのか等の要素の反映を考えたら地代の正確なものは、不動産鑑定をすべきかと思います。
路線価による方法は、チェック機能としては役に立つかもしれませんが、地代の額を最終的に決めるには弱すぎるかと思います。
積算法
積算法は不動産鑑定士等がよく使う手法の一つです。具体的には更地価格×期待利回り+必要経費です。
更地価格は、地価相場価格、路線価×1.2、固定資産税評価額×1.3等とします。又、期待利回りは物件の所在地等により変わりますが、2~3%程度が多いですね。
必要経費は固定資産税・都市計画税などで計算します。
賃貸事例比較法
賃貸事例比較法とは実際に賃貸借契約が成立した事例から比準する方法を言います。事例は下記の条件を満たす事例を採用して求めます。
ごく最近に新規に契約された事例を使う事
賃貸借等の契約内容がよく似た事例を採用する事
土地の利用の仕方が類似する事例を採用する事
収益分析法
対象不動産の純収益を分析して、対象不動産が一定期間に生み出すであろうと期待される純収益(収益純賃料)を求め、これに必要諸経費等を加算して賃料を求める方法です。
収益分析法は一般の方が求めるには、慣れていないため難解な所があります。地代の正確なものを求めたい場合には、不動産鑑定士の力を借りられる事をお勧めします。
【運営者】不動産鑑定士・宅地建物取引士 小林穂積
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著書:土地評価の実務 part2(プログレス刊)
土地評価の実務 (プログレス刊)