隣接不動産を併合を目的に売買する場合や、経済合理性に反する不動産の分割を前提とする売買するときには、通常の市場価値より高くなったり、低くなったりして市場価値を乖離することがあるので鑑定評価をして市場価値を適正に把握して隣接不動産の購入(または売却)をしましょう。市場価値を乖離する場合の価格を限定価格といいます。
限定価格をなす場合を例示すれば次の通りです。
隣接不動産の併合を目的とする売買に関連する場合
本件土地と隣接地を併合したら、形状、接道、面積等が良くなり、併合後の一体した土地が、併合前の各々の土地の正常価格を合計した価額より高くなるようであれば、隣接地を併合することによる価値が上がるので、本体土地の所有者は隣接地を正常価格より高い価格で購入しても経済合理性があります。
そのような場合は不動産鑑定評価をすることによってその併合による限定価格を見極めて、売買すれば納得のいく売買が可能です。
経済合理性に反する不動産の分割を前提とする売買に関連する場合
本件土地の一部を分割したら、本件土地の残地の利用価値が下がってしまって、土地の価格が減価する場合、本件土地の所有者は土地の価格が下がった分の補償を加算しなければ本件土地の一部を売買しないだろうと思われます。
このような経済合理性に反する不動産の分割を前提とする場合には、分割した土地を購入しようとする場合、本件土地の残地の減価分を加算した価格で購入せざるを得ません。
この時の価格はしたがって正常価格ではなく特定の当事者間においてのみ経済合理性が認められる価格となります。即ち限定価格になります。
正常価格とは、市場性を有する不動産について、現実の社会経済情勢の下で合理的と考えられる条件を満たす市場で形成されるであろう市場価値を表示する適正な価格をいう。この場合において、現実の社会経済情勢の下で合理的と考えられる条件を満たす市場とは、以下の条件を満たす市場をいう。
市場参加者が自由意思に基づいて市場に参加し、参入、退出が自由であること。
なお、ここでいう市場参加者は、自己の利益を最大化するため次のような要件を満たすとともに、慎重かつ賢明に予測し、行動するものとする。
売り急ぎ、買い進み等をもたらす特別な動機のないこと。
対象不動産及び対象不動産が属する市場について取引を成立させるために必要となる通常の知識や情報を得ていること。
取引を成立させるために通常必要と認められる労力、費用を費やしていること。
対象不動産の最有効使用を前提とした価値判断を行うこと。
買主が通常の資金調達能力を有していること。
取引形態が、市場参加者が制約されたり、売り急ぎ、買い進み等を誘引したりするような特別なものではないこと。
対象不動産が相当の期間市場に公開されていること。
※上記の内容は不動産鑑定評価基準に基づいた。
限定価格とは、市場性を有する不動産について、不動産と取得する他の不動産との併合又は不動産の一部を取得する際の分割等に基づき正常価格と同一の市場概念の下において形成されるであろう市場価値と乖離することにより、市場が相対的に限定される場合における取得部分の当該市場限定に基づく市場価値を適正に表示する価格をいう。
限定価格を求める場合を例示すれば、次のとおりである。
隣接不動産の併合を目的とする売買に関連する場合
経済合理性に反する不動産の分割を前提とする売買に関連する場合
(※上記内容は不動産鑑定評価基準に基づいた)
株式会社アプレイザル総研
不動産鑑定士・宅地建物取引士 小林穂積
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著書:土地評価の実務 / 広大地評価の重要裁決事例集 / 広大地評価判定の実務