本件各土地は、市街化調整区域内に所在し、建物の建築ができない雑種地に該当するから、しんしゃく割合を50%とした事例(東裁(諸)平22第102号・平成22年11月9日裁決)
【参考】国税不服審判所 平成22年11月9日裁決(東裁(諸)平22第102号)
本件各土地の概要
(1)本件A土地
本件A土地は、地積1,814㎡の雑種地である。本件A土地は、資材置場を目的とする賃貸契約をし、賃貸していた。
本件A土地に接する道路の向かいは市街化区域となる土地で、市街化調整区域にも宅地が点在している地域である。
本件A土地の固定資産税課税上の現況地目は宅地比準雑種地である。
本件A土地の属する地域は市街化調整区域である。
(2)本件B土地
本件B土地は、地積961 mの雑種地である。
本件B土地は、駐車場または資材置場を目的とする賃貸借契約を締結し、賃貸していた。
本件B土地の固定資産課税上の現況地目は宅地比準雑種地である。
本件B土地の属する地域は市街化調整区域である。
審判所の判断
(3)建物の建築制限に係るしんしゃく割合について
上記のとおり、評価基本通達82において、雑種地の評価は、原則としてその雑種地と状況が類似する付近の土地の評価額に比準して行う旨定められているところ、市街化調整区域内の雑種地の評価について宅地比準方式により評価する場合、市街化調整区域内の雑種地の評価について宅地比準方式により評価する場合、課税実務上、建物の建築制限にかかるしんしゃく割合(原価率)を
(イ)建物の建築が全くできない場合には 50%、
(ロ)店舗等の建築が可能な幹線道路沿いや市街化区域との境界付近の地域に所在し、家屋の構造、用途等に制限を受ける場合には 30%、
(ハ)(ロ)と同様の地域に所在し、宅地価格と同等の取引実態が認められる場合には0%とすることとして取り扱われており、この取扱いは当審判所も相当であると認められる。
これを本件についてみると、本件各土地は市街化調整区域内に所在し、建物の建築ができない土地であることから、しんしゃく割合を(イ)の50%として減額するのが相当である。
相続開始時の現況が駐車場の場合、地目が争われた判例
郊外型大規模小売店舗の敷地及びその駐車場として貸し付けられている本件土地のうち駐車場部分の土地は、相続開始時の現況は駐車場として当該建物の敷地及びその維持管理に必要な土地か否かが争われた事例をご紹介致します。
出典:国税不服審判所 (関裁(諸)平16第69号 平成17年5月31日裁決・非公開)
請求人らは、いわゆる郊外型大規模小売店舗の敷地及びその駐車場として貸し付けられている本件土地のうち、駐車場部分の土地について、相続開始時の現況が駐車場であり、建物の敷地及びその維持管理に必要な土地には当たらないから、その地目は雑種地である旨主張する。
しかしながら、地目判定上の宅地とは、「建物の敷地及びその維持若しくは効用を果たすために必要な土地」と解されるところ、本件については、
①本件土地の賃貸借契約は、店舗敷地と駐車場を目的とし、賃料に格差のないこと
②本件土地と同様に賃借人が使用している周囲の土地の賃貸借契約の内容が、すべて本件土地の契約内容と同一であること、
③本件土地と周囲の土地を併せた全体の利用状況が、すべて店舗敷地及び専用駐車場であること等
以上の事からすれば、これらすべての土地が一体として店舗の営業の用に供されているというべきであるから、そのすべての土地が店舗の効用を果たすために必要な土地に当たり、宅地であると認められる。
株式会社アプレイザル総研
不動産鑑定士・宅地建物取引士 小林穂積
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著書:土地評価の実務 / 広大地評価の重要裁決事例集 / 広大地評価判定の実務