不動産鑑定評価書の活用方法とそのメリット

1.不動産鑑定書とは

不動産鑑定評価書とは、不動産の鑑定評価に関する法律第39条に基づき不動産鑑定業者が依頼者に対して発行する書面をいいます。

なお、その書面に関与した不動産鑑定士が不動産鑑定評価基準及び価格等調査ガイドラインに基づき成果物を作成し、鑑定評価を行った年月日、資格などを表示し署名捺印することになっています。

2.不動産鑑定評価をとることのメリット

メリット
・不動産の客観的な価格を知りたい時。
・第三者に対して不動産の価値を説明しなければならない時。
 (例えばその価格が妥当であることを税務署に説明する時)
・株主への説明資料、社内稟議、決済資料として不動産の時価を把握すること。
・経営戦略を立てるための基礎資料として。
金融機関から不動産を担保に事業資金を借り入れる場合。
 (貸入れ時の価額が分かり、融資交渉がスムーズに運べる)
・融資をする金融機関の場合、担保不動産の処分可能価格を把握できることと、監督官庁への説明材料、債権処理の判断材料として活用できる。
・地代・家賃の新規設定や改定の場合交渉がスムーズに進み、トラブルを未然に防止する効果がある。
・同族法人間・同族法人・親族間等の利害関係等の利害関係者間の不動産売買の場合、合理的な価格であることの証明する資料となる。
・訴訟や調停の折に使う「鑑定評価書」は説得力のある資料として活用できる。

不動産鑑定で時価を把握

 
メリット2
・鑑定評価書があれば売買を円滑に成立させるための交渉材料となります。
・法人との不動産の取引の場合、会社内の稟議及び決済資料となりますので、社内社外とのトラブル防止に役立ちます。
・成年被後見人の財産売却にあたり、適正な取引価格であることを証明する資料になります。
・大規模な土地、不整形な土地、テナントビル、継続賃料、借地権、借地権更新料等価値判断の難しい土地・建物の場合、鑑定評価を行えば安心して取引ができます。
税法上の土地・建物の交換の場合、交換の要件が厳しいため、鑑定評価を事前にしておけば安心して取引が可能です。(ex。資産の評価額の差額が大きい方の20%以内。)

3.不動産鑑定評価書への記載が義務付けられている事項について

不動産鑑定評価書は不動産の鑑定評価の成果を納得して頂けるためのもので、必要な事項を漏れなく記載しなければならないとされています。

不動産鑑定書

その内容はとても詳細な説明になっています。

「不動産鑑定ってどういう時役立つの?」の「6.不動産鑑定評価書の記載内容」を参照下さい。したがって弊社の鑑定評価書は数十ページになる場合が多いです。

参照:不動産鑑定ってどういう時に役立つの?はこちらをクリック>>>

 

4.不動産鑑定書の活用方法

不動産鑑定士とは

国家資格

不動産の鑑定評価に関する法律に基づく国家資格です。また、「不動産鑑定士は、不動産の鑑定評価を担当する者として、十分に能力のある専門家としての地位を不動産鑑定評価に関する法律によって認められ、付与されたものである」と不動産鑑定評価基準で述べています。

不動産鑑定士は税理士や弁護士ほどに知名度はないが、不動産鑑定士試験(短答式及び論文式)に合格し、実務修習を経て、不動産鑑定士の登録を行うことで、不動産鑑定士の資格を得ることになります。

 

不動産鑑定評価の業務内容

A.国等公的機関からの依頼事項

・標準地の鑑定評価(地価公示に基づく)
・基準地の鑑定評価(国土利用計画施行令に基づく)
・路線価の評価 ・固定資産税評価
・公共用地取得のための鑑定評価
・国有財産の評価
・競売評価(鑑定評価に準ずる)
・公売評価(鑑定評価に準ずる)
 

B.個人からの鑑定の依頼事項

売買の時の鑑定評価
(ⅰ)親子、兄弟姉妹等同族間の売買の場合 同族間の売買では低額譲渡(市場価格=時価よりも著しく安く取引すること)に当たらないために、時価を先ず把握するための鑑定をとる傾向があります。時価の1/2以内に該当するか否かがポイントとなります。

(ⅱ)第三者との売買の場合 売買をスムーズに成立させるために交渉材料として利用できます。又不動産の客観的な価格を知りたい時などに活用して頂いております。

(ⅲ)同族法人と役員との売買の場合 社内稟議・決裁資料・税務署対策用資料として活用して頂いております。 法人の不動産の売買は時価(正常価格)を基本として取引することを前提としています。したがって、同族法人と役員との不動産の売買の折には鑑定評価書をとることをおすすめします。1つの税務署対策です。

関連ページ:同族間の不動産売買は時価鑑定はこちらをクリック>>>

不動産を担保に金融機関からお金を借りる(融資を受ける)時
融資を受ける場合、不動産を担保にすれば多くの融資を引き出すことが可能ですし、不動産鑑定評価書があれば借入可能な金額の予想ができます。
賃貸マンションや事業用不動産、規模の大きな土地等は金融機関の担保評価よりも不動産鑑定評価の方が精度が高いので不動産鑑定評価書を活用し、金融機関との融資交渉をスムーズに成立するための資料として利用いただけます。
又金融機関様にとっても担保不動産の価値や市場動向、換価性、監督官庁への説明資料等にもご利用頂けます。

関連ページ:担保不動産の鑑定評価こちらをクリック>>>

 

不動産鑑定書を活用

相続・贈与の時の鑑定評価
(ⅰ)土地・建物等の不動産を公平に分配したい時
不動産は個別性が強く同じものは1つもありません。財産評価基本通達に基づく評価では、例えば貸家は土地+貸家で評価しますが、鑑定評価では貸家及びその敷地として一体評価されます。

財産評価基本通達に基づく評価では家賃が高くても安くても空き家があってもなくても一定の価額になりますが、鑑定評価では各々の条件により価額は異なります。公平な財産の分配をしたい場合は、鑑定評価をお勧めします。

(ⅱ)相続税・贈与税の申告、相続税・贈与税の還付
広大地に該当する土地の相続税・贈与税の還付を受ける時には、広大地判定の意見書を還付の申請書に添付することにより、相続税・贈与税の還付を受けることができます。

又、地積規模の大きな宅地については不動産鑑定評価を行うことで相続税・贈与税が安くなります。

相続税・贈与税が戻って来るかも

訴訟・調整時の鑑定評価
賃料改定のための訴訟の資料として。又は賃料改定のための調停の資料として不動産鑑定士の不動産鑑定書をご活用下さい。
遺産分割・共有物分割時の鑑定評価
遺産分割及び共有物分割をして不動産を適正に公平に分割する時に不動産鑑定を活用下さい。第三者の意見として不動産の適正な時価を把握するには不動産鑑定評価書は有用な証拠資料となります。なぜなら相続財産の価格に疑義があったり将来紛争を未然に防ぐためにも不動産鑑定書は役に立つ資料となるからです。

又不動産の価格は現金と異なりその価格を把握することが難しく、世間では土地の価格は一物五価とも言われるくらい色々な価格があり争いの原因になるケースも少なくないからです。

建物の価格は一物五価

たとえば一棟の賃貸マンションの場合、財産評価基本通達では「貸家建付地」+「貸家」で評価します。又満室でも空室が半分を占めていても財産評価基本通達で求めた価額は同じになりますが、鑑定評価の場合は一棟の賃貸マンションを「貸家及びその敷地」として評価します。鑑定評価では満室の場合と空室の場合が半数を占めている場合では当然価額に差が出ます。したがって遺産分割・共有物分割をする時は鑑定することをおすすめします。

関連ページ:戸建住宅等の鑑定・遺産分割はこちらをクリック>>>

離婚に伴う財産分与のための鑑定評価

離婚に伴う財産分与において揉めるのは不動産の時価です。公になっている価格として①固定資産税評価額(公示価格の約70%)、②相続税路線価(公示価格の80%)、③不動産鑑定評価額(公示価格を規準)、④不動産業者による査定額(売買希望価格)等がありますが、当事者が合意すれば上記のどの価額を採用しても問題はありません。

しかし、不動産の価額で争いになっている場合や不動産が多数ある場合には不動産を公平に分配するには不動産鑑定評価書が役に立ちます。なぜならば不動産鑑定評価書は、何らの利害のない第三者による評価でありなおかつ時価を証明することのできる唯一のものだからです。

離婚に伴う財産分与

又よく財産分与において使われる固定資産税評価額は固定資産税徴収のためのものであり、不動産の市場価値を意味するものではなく不動産の時価とは大きくかけ離れているのが一般的だからです。不動産の価格で財産分与が決まらない時は不動産鑑定を活用することで早期の和解に繋げましょう。

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相続税の更正の請求の時の鑑定評価

相続税の納付で評価基本通達に基づき土地の評価をして申告したが、思いのほか時価より高いと思った時、不動産鑑定を行って土地の評価を下げて更正の請求をすることで還付を受けることができます。

(イ)本件土地を広大地を適用して相続税の還付が可能となります。広大地を適用すれば評価額を最大65%減額可能です。そのためには不動産鑑定士による更正の請求のための「広大地判定のための意見書」の作成が必要です。なぜなら本件土地が広大地になる要件を満たしていることを証明している書類だからです。

(ロ)500㎡以上の土地で旧広大地が適用される土地は評価基本通達に基づく土地評価よりも土地の鑑定評価をする方が土地の価額は低くなる可能性が高いです。その理由はその土地の最有効使用が開発後低層分譲住宅の敷地となると開発造成費等が嵩(かさ)むにもかかわらず評価基本通達に基づく費用ではカバー出きなくなるからです。

そのために開発図面とその造成費用等の見積書を添付し、広大地判定の意見書を作成して、相続税の還付をおすすめしています。是非ご活用下さい。

関連ページ:相続税還付支援はこちらをクリック>>>

(ハ)下記のような土地は評価基本通達に基づく価格より鑑定評価の方が評価が下がる可能性があります。

・間口が狭く長細い土地
・形状が悪い土地
・傾斜の急な土地
・法面のある土地等
 

上記のような土地は不動産鑑定を行う事で評価が下がる可能性があるので、土地の評価を見直せば、相続税が還付される可能性があります。

土地の見直し

相続税の「地積規模の大きな宅地」の時価鑑定

相続税の「地積規模の大きな宅地」に該当する土地で、旧広大地の適用が可能な土地は、鑑定評価をすることで評価基本通達に基づく評価額よりも下がれば、相続税の大幅な節税になります。

大幅な節税になるケースとは、地積規模の大きな宅地で旧広大地の適用が可能な土地その土地の最有効使用が戸建分譲住宅の敷地のため、その土地を区画形質の変更をして開発道路を設て土地の開発をする必要があります。

土地の開発をするには造成工事費が発生するのでその費用を控除したものが本件土地の正味の価格即ち時価になるからです。

相続税の評価基本通達に基づき求めた「地積規模の大きな宅地」の価額よりも不動産鑑定により求めた価額が低く求められると共に鑑定をすることの特別な理由を説明してくれるのが本件土地の鑑定評価書になります。広大地判定を得意とする弊社にご相談下さい。相続税を節税しましょう。
関連ページ:地積規模の大きな宅地についてはこちらをクリック>>>

共有物分割のための鑑定評価

不動産の相続による分割には①換価分割、②現物分割、③代償分割、④相続人全員による共有がありますがそれぞれ一長一短があります。

換価分割とは、不動産の売却した代金で公平に分ける方法です。

現物分割とは、不動産を分割する方法ですがかならずしも分割可能なものばかりとは限りません。たとえば建物の分割は難しいかもしれません。また土地の分割は分割後の土地の価値が下がる場合があります。

代償分割とは、不動産を売却せず残し、不動産を売却したものと仮定または単独に所有する人に持分を売却して、その売却代金をもって持分による清算等により分配する方法です。このケースの場合、不動産の時価に対して争いになることがあります。

相続人全員による共有とは、字のごとく共有することですが、不動産の維持や売却等には共有者全員の同意が必要であり、トラブルの原因になりやすいことです。

不動産鑑定評価が必要とされるケースは不動産を分割するに際して、不動産の適正時価を把握する必要がある場合です。

たとえば現物分割や代償分割の場合です。換価分割は不動産を売却しますので代金でもめることは少ないと思われます。相続人全員による共有の場合は、後日売却する時または建て替え時に揉める可能性があります。

隣接不動産の購入(または売却)する場合の鑑定評価

隣接不動産を併合を目的に売買する場合や、経済合理性に反する不動産の分割を前提とする売買するときには、通常の市場価値より高くなったり、低くなったりして市場価値を乖離することがあるので鑑定評価をして市場価値を適正に把握して隣接不動産の購入(または売却)をしましょう。

関連ページ:隣接する土地の不動産を売買する時の不動産鑑定はこちらをクリック>>>

底地を売買する時の鑑定評価

底地(借地権の付着した土地)

(1)借地権者に売却する場合

(2)第三者に売却する場合

(3)底地と借地権を一体で第三者に売却する場合

が考えられますが、各々によって価格は異なります。

それが底地の持つ特長なので、市場価値を適正に表示する価額を不動産鑑定評価を介して見極めてから、売買をすることをおすすめします。

固定資産交換のための鑑定評価

(1)固定資産の交換の特例を使うメリット
固定資産又は、固定資産の交換の特例(所法58、法法52)の一定要件(下記○を参照)を満たせば、譲渡所得(譲渡益)の計算上、譲渡がなかったものとして、課税の繰延べ(100%)が認められる、ということなので、固定資産の交換の特例を活用しましょう。

(2)固定資産の交換の特例の要件

イ. 1年以上所有していること(交換のために所有したものでないこと!)
ロ. 固定資産であること(流動資産や棚卸資産等ではダメです)
ハ. 同一種類の資産であること   
   土地は土地、建物は建物であることです。土地と建物との交換はできません。
二. 譲渡直前の用途と同一、用途に供すること
ホ. 交換時における時価の差額がいずれかの高い方の価額の20%以下であること。

(3)不動産鑑定評価書の活用
固定資産の交換の特例を使って固定資産を交換する場合に、上記5つの要件のうちイからニの4つの要件はほぼ分かりやすい一面がありますが、ホの価格要件は不動産の時価を扱うので注意を要します。

特に土地や建物が数多くある場合には特に交換差金が20%を超えているか否かをしっかり見極めることが大切です。 このような場合には、不動産鑑定評価書を活用し、価格の要件をしっかり押さえることをおすすめします。

お問い合わせ
不動産鑑定のことなら、お気軽にご連絡下さい
0120-987-134
  • 平日9:00~20:00
  • 土日9:00~17:00
不動産鑑定士 小林穂積【運営者】
株式会社アプレイザル総研
不動産鑑定士・宅地建物取引士 
小林穂積
不動産の鑑定・相続コンサルならお任せ下さい。皆様のお力になります
電話:0120-987-134 北浜駅より徒歩5分
著書:土地評価の実務 /  広大地評価の重要裁決事例集 / 広大地評価判定の実務

 

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